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SC「ああ、もう一つ伝えるの忘れてた。
A「忘れた頃にやって来ましたね…」
SC「あれに呑み込まれたら帰れなくなるってシュアが言ってたと思うんだけど、理解した？」
ここが夢だと気付いてから、
何となく分かる気はした。
A「現実世界に帰れなくなる、ってことですよね」
SC「うん。そういうこと。ウォヌに初めて会った時、墓地で会ったと思うんだ。あれは…
A「やっぱり…そうだったんですね」
SC「理解力あるじゃん。凄い」
A「でもクプスさん、もう一個気になることがあるんです」
SC「ん？何？」
A「私はここから、現実世界に帰れるんですか？」
クプスさんは難しい顔を浮かべた。
SC「ああ、帰れるよ。何なら今からでも。だけどAちゃん、俺からも気になることが一つ」
A「何でしょう」
SC「本当に帰りたい？心の準備は出来てるの？」
妙にグサッと刺さる。
確かに、辛さから逃れたくてここに来た訳であって。
帰りたいかと言われたら、帰りたくない気持ちの方が大きい。
また嫌な現実と向き合わなきゃいけないと思うと…覚悟が出来ていない。
SC「焦らなくていいよ。時間はいっぱいあるから。心の準備が出来たら、いつでも俺に言って」
A「…分かりました」
SC「それと、今日はここに泊まっていく？一人の時間が欲しいと思うし」
一人の時間。
確かに必要かもしれない。
せめて今夜だけは、一人で考える時間が欲しい。
A「じゃあ、泊まっていきます」
SC「ん、分かった。俺のこの部屋使っていいから」
A「国王の部屋なのに…？」
SC「いいんだよ。もう一つあるから」
どこまでも優しい国王だねってのと、
こんなに広いんだから部屋は一つしかない訳がないってのと。
そして、私は行きたい場所があった。
A「あと、明日湖とお墓に行きたいです」
SC「お墓…？」
A「何故か、行きたくなっちゃって」
SC「…良いよ。誰か連れてってくれる奴呼ぶね」
A「ありがとうございます…」
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作者名：らん | 作成日時：2021年9月28日 23時
