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JS「Aちゃんは、物心ついた時から絵を描くことが大好きで、いつになってもペンを手放すことはなかったんだ。天真爛漫な性格で、友達に恵まれて、何不自由なく過ごしてきたんだけど…高校に入って、自分の描いた絵をクラスメイトに見られて、変だの気持ち悪いだの、馬鹿にされ続けて…それでも彼女はペンを放すことはなかった」
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DN「どんなに悪口を言われても、Aちゃんは友達や家族に一切話すことはなかったんだって。何を聞かれても、大丈夫って言ったり元気なふりをしてその場を乗り切ったって。でも、溜まりに溜まった鬱憤の捌け口はどうしても必要だったらしくて…」
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SC「そこで君は、唯一自分の悩みを聞いてくれる友達を"描いた"んだ。どんなに苦悩に悩まされても、やっぱり絵を描くことだけはやめられなかった。人魚が海で日向ぼっこをしている絵を描いて、それを自分の部屋に飾って。毎日学校に帰ってきては、今日あったことをその絵に話す。Aちゃんなりの、ストレス発散方法だったんだ」
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JS「彼女は、わざわざその絵に名前をつけて、描いた日をその子の誕生日にしたんだ。悩みだけじゃなかった。楽しい話も面白い話も、その絵に話して…そうしていくうちに、段々学校に行くこと自体がストレスになってきて…そしたらある日突然、もう生きたくないって言い出したんだ。いじめが酷くなったんだろう」
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DN「Aちゃんは、"眠る"直前にこう言ったんだ。「もう話すことは出来ないかもしれない」って。泣きながら、「くだらない話を聞いてくれてありがとう」って言ってくれたんだ。そして…「大好きだよ」って、言ってくれた」
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SC「Aちゃんは、昔亡くなったお父さんが服用してた睡眠薬を大量に飲んで、"眠り"についた。そして、ここへとやって来たんだ」
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JH「もしかして…その人魚って…」
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WN「ちょっと待って、その人魚って…」
JS「ああ。ディノのことだよ」
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DN「うん。俺のことだよ」
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作者名：らん | 作成日時：2021年9月28日 23時
