灰の孤独が生んだ妄言 ページ10
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孤独にきゅっと心臓を掴まれた気がした。話し相手が居ないとこうも教室は静かで、私もなんだかやるせなくなってしまう。
甲斐との戦闘(戦闘と言うべきであろうか？ 私にも良く分からないが他に表す言葉を知らないのでこう表すことにしよう)のために後ろへ下げられた机と、人のいない静けさとで、ああこんなにも教室は広かったのだなと思う。普段はあんなに息が詰まるほど狭いのに。
私の目線は再び未だに目を閉じたままの青年を指す。それしか、見つめるものがないというのが現実だ。卑しい、と思った。私が、だ。今彼が目を覚ましたなら、彼の目に一番先に映るのは私で、彼には私が一生懸命看病したように見えるかもしれない。看病したのはさくらなのに。
むくり、と急に起き出して、私の目を見て、ありがとうと言ってくれないかしら、看病してくれて嬉しいと言って頭をくしゃくしゃと撫でてくれないかしら、そんな夢みたいなことばかり考える。これも、孤独の所為だ。
勿論それが夢で終わることは知っている。誰に教わらずとも。私はきっと、また良い子のふりをして。「さくらも一緒に居たんです。でも今トイレに行っていて」状況報告をするのだろう。それが人として正しいことだから、私はそれを免れない。ましてや、先生が私のことを触れるなど、頭を撫でるなど、あるはずもない妄想なのだ。けれども、私はまだ、今この時に先生が目覚めないかしらと望んでいる。
先生が私に触れることは無い。けれど、私が先生に触れる機会は存分にあるのだ。今、この時。そっと、怯えたように指先を彼の痩せこけたような頬に。作り物のようだと思った。冷たい、粘土で作った芸術品でないかと思うほど。人の体温というものが感じられずに、私は伸ばした指を引っ込める。触ってはいけないような気がして。
これが作り物ならば、きっと世界で一番美しい美術品だ。モナリザも顔負けの、立体作品。学校の外では、ネット上では、恐らく先生に対しての言葉が飛び交っている。先生は警察を呼んだらしいし、窓からはテレビのカメラのような物も見えた。飛び交うその言葉の中には、聞いたら気持ちの悪くなるような、嫌な言葉を混じっているのだろう。けれど、彼の眉目秀麗さを目にすれば、その言葉でさえ発するのを躊躇ってしまうだろう。
やはり私は、鏡になりたい。この人の姿を映す鏡に。
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鑑 涙栖(プロフ) - luna???さん» ありがとうございます……！何と表して良いか分からないくらい嬉しいです、文面へ普通ですがとても興奮しております。更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。 (2019年2月17日 7時) (
レス) id: 3eec8abc69 (このIDを非表示/違反報告)
luna???(プロフ) - 作品とても面白くて毎日、更新されたか見に来てる位本当に好きです笑また更新待ってます！ (2019年2月16日 23時) (レス) id: 654049e628 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鑑涙栖 | 作成日時：2019年2月14日 16時
