有り余る透明な綺麗事 ページ7
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綺麗事だ、と思う。何に？ 全てに。先生が目覚める保証なんて全くないのに、こうして断言してしまっているのは綺麗事。結局、私たちはそれを信じていたいだけであり、偶像崇拝なのだろう。偶像崇拝、何かで聞いた覚えがあるな、と思った、国語の授業だろうか。
青白い肌はもはや雪のようではなく、病人のそれである。これは世にも美しい死体なのだ、と言っても、皆信じるかもしれない。目の前の彼に生気は見当たらない。
世界は綺麗事に溢れていて、それだから私たちは綺麗事を望むのだろう。何にでも救いを求めてしまう、可哀想な人、貧乏な人、いじめられっ子、弱者、それらに同情して、そんな人々に幸あれ、と願う。なんて綺麗事。身近に自分よりも弱い立場の人間を見つけると、すぐに優越感に浸り弱者を苛むのも人間、それを見て悲しむのも人間、逆境に耐えてやると嫉妬心に燃えるのも人間。
王子様のキスで目覚める白雪姫なんて、そんなの、綺麗事でしかなくて。綺麗な物以外を知ってしまった私たちはそんなことはあり得ないと見下す。一度知ってしまったことは余程のことがなければ忘れることはできないし、だから今の私は汚れている。現に、本当に先生が目を覚ますことはあるのだろうかと疑う。子どものように、目に映るもの全てを信じるわけにいかず、はたまた目に映るもの全てを疑うこともできない。だけれど、私たちは、なぜだか綺麗事で物語の終止符が打たれるのを望んでいる。
先生が目覚めることを望んでいる。
「ばかみたい、だよね」
確率の問題でいえば、このままクラスメイトたちが脱出口を発見、先生が完成させた密室は密室でなくなり、私たちは人質から解放される、その確率のほうが高いに決まっている。今美術室で何が行われているのかは知らないが、きっとそろそろ脱出路が出来ている。先生の作ったものは壊れ去る。それで私たちは家族の元へ戻れる。それが正しいのに、なぜだかここから出なくても良いのではないかという結論を出している私がいる。
不意に声を出して驚かせたのか、さくらは俯いた私の顔を覗き込むようにして目線を合わせる。その目が、何がばかみたいなの？ と問うていた。
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鑑 涙栖(プロフ) - luna???さん» ありがとうございます……！何と表して良いか分からないくらい嬉しいです、文面へ普通ですがとても興奮しております。更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。 (2019年2月17日 7時) (
レス) id: 3eec8abc69 (このIDを非表示/違反報告)
luna???(プロフ) - 作品とても面白くて毎日、更新されたか見に来てる位本当に好きです笑また更新待ってます！ (2019年2月16日 23時) (レス) id: 654049e628 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鑑涙栖 | 作成日時：2019年2月14日 16時
