その薄紅は雪女ではなく ページ3
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無防備に晒された先生の寝顔は、白いというよりは青白い、生気の感じられないものだった。昔、絵本で読んだ「雪女」の挿絵はこんな色の肌をした雪女がいた。それほど人間味のない、不気味にすら感じられる、顔面蒼白であったわけである。
閉じられた瞳によって現れる睫毛は女性のものと思われるほど長く、それでいてどんな加工もしていない素直さの感じられるものだった。やはり肌は薄いようで、そこにうっすらと浮かぶ隈のようなものは青紫を宿し、白い肌にまた不気味さを与える。
スッと通った鼻筋は、おそらく触れば滑り台のようにするりと落ちる、凹凸のない端正なものである。甲斐との一件によりできた、まだ海老色に近い痣が唯一人間的で、それが逆説的に人間からかけ離れているようにも見えた。口紅も塗っていないだろうに、薄紅色に染まりきゅっと閉じた唇は、やはり私に雪女を思い出させる。いや、違う。これは……これは、雪女ではなく白雪姫だ。
触れたら壊れそうな、美術品のようであった。七人のこびとが白雪姫を棺に入れて花で飾ったように、彼を箱に入れて周りに色とりどりの花を敷き詰めれば、芸術作品として評価がついてもおかしくはない。あれほど嫌っていた自分の苗字なのに、ここで白雪姫を連想してしまうとは皮肉なことだ。けれど、それは、必然的な結果であり、私の苗字はたとえ白雪でなくても、この際黒崎でも、高橋でも、私は彼を見て白雪姫を想像したに違いない、と思うことにした。
食い入るように先生を見つめていたら、周りには人はいなくなっていた。美術室の方から物音や声が聞こえるから、皆そこへ移動したのだろう。残っていたのは、私と白雪姫――白雪王子と言うべきか――と、学級委員長である。
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鑑 涙栖(プロフ) - luna???さん» ありがとうございます……！何と表して良いか分からないくらい嬉しいです、文面へ普通ですがとても興奮しております。更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。 (2019年2月17日 7時) (
レス) id: 3eec8abc69 (このIDを非表示/違反報告)
luna???(プロフ) - 作品とても面白くて毎日、更新されたか見に来てる位本当に好きです笑また更新待ってます！ (2019年2月16日 23時) (レス) id: 654049e628 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鑑涙栖 | 作成日時：2019年2月14日 16時
