貴方に重ねる珊瑚色 ページ14
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生憎、あの子のようにお互いに好きだと言える関係を持つ異性がいるわけではないので、どうして良いか分からない。映画で何度も見たはずなのに、いざとなるとそれが思い出せずにいる。
尻を引きずるようにして蟹の如く横移動をする。いつもならスカートが擦れて汚れてしまうから嫌な動作だが、今はそんなことはどうでも良くなっていた。先生の腰の横辺りから、先ほどまでさくらが居たところまで。ほのかにさくらの温もりがまだ床に残っているような気がして、そうかまださくらがトイレに行ってからあまり時間が経っていないのかと安心する。
ゆっくりと深呼吸をして、もう一度良く考えてみる。けれど、衝動はなかなか抑えることは出来ないのだ。覚悟を決めたではないか、怯えるな！ と自分で自分を奮い立たせる。長い睫毛に見とれながら、おもむろに顔を近づける。
屈むと髪の毛が揺れて邪魔で仕方ないなと、意味も無く短い髪を耳に掛けてみたり、乾燥しているのではないかと己のそれを舌で一度舐めて、しかし唾液に塗れたそれも気持ちが悪いと手で拭ってみたり。私の動きは忙しない。ついに準備が出来たようで、ふう、とまた息を吐く。
薄紅のそれに、私のものを重ねて、私は一瞬息が出来なくなった。
感想を五十字以内で述べろ、と国語の問題のように問われれば、私は「良く分からなかった」と答えるしかない。五十字も作文出来ない。パッと触れていたそれを離し、また息を吐いて、頬が紅潮していくのをぼんやりと感じる。恋愛小説だったなら、もっと豊富な語彙で表現されているであろう待ちに待ったシーンも、混乱に塗れ、何をどう感じて良いか分からない。私は硬直していた。柔らかかったかと聞かれればそうであったかもしれない、どんな味だったかなんて知らない。小説の主人公は、どうしてそれの味を、いかにもそれらしい言葉で表現出来るのだろう。
一つ答えられることがあるとすれば。私は王子様では無かった、ということだ。私は主人公には成り得ない、脇役にすら。――白雪姫が目覚めないのだから、所詮私は七人の小人に過ぎないのだろう。
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更新長らくお待たせしました。申し訳ありません。受験や卒業式で大変でしたが、私も晴れて卒業出来たので、これからゆっくりとですが更新を続けていきたいと思います。
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鑑 涙栖(プロフ) - luna???さん» ありがとうございます……！何と表して良いか分からないくらい嬉しいです、文面へ普通ですがとても興奮しております。更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。 (2019年2月17日 7時) (
レス) id: 3eec8abc69 (このIDを非表示/違反報告)
luna???(プロフ) - 作品とても面白くて毎日、更新されたか見に来てる位本当に好きです笑また更新待ってます！ (2019年2月16日 23時) (レス) id: 654049e628 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鑑涙栖 | 作成日時：2019年2月14日 16時
