真っ赤に染まった愛と哀 ページ12
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ゆめゆめ忘れるな、私はこの先生の生徒であり人質である。自分を戒めても意味がある訳もなく、私はまた彼が一応の“犯罪者”であることを忘れている。刑法で言えば、人質強要罪、人質による強要行為に対する処罰、などが彼には与えられるのだろうか。それでもこの安らかな寝顔にはそんな恐ろしさは微塵も無く、さらに言えば目覚めている状態の彼には正義の色さえ感じられる。私にはどうしても、この柊一颯を犯罪者だとは思えない。
それでも、彼から優しさを感じてしまうのは。彼から正義を見出してしまうのは。私が彼に愛情を感じているのは。私の我が儘であろうか、自然なことであろうか。彼を純粋に好きだと思うのは私がおかしいのだろうか？ そうは思えずにまた思案する、けれど何度考えてもやはり私がおかしいと信じてしまったほうがぴったりとピースがはまるような、そんな気がしてならない。私はどうかしてしまったのだろう。
この事件が起こる前から、綺麗な顔を持つ人だとは思っていた。彼が担任教師であるから私は嫌気が差しても学校に来られたというものだ。ただ、それだけであったような気もするし、元々彼への愛情を持っていたような気もする。それが、人質にとられてからはっきりと、手に取るように私は愛情を自覚してしまった。これは、世に言うストックホルム症候群、というものではあるまいか。いいや、違う。違うと信じたい。何故なら、私が知る彼への愛は、この緊迫した状況故のものではなく、純真で、真っ直ぐな愛だと信じていたいからだ。吊り橋効果なんてものではないのだ、私は邪な想いなど一つもなくただ彼を愛している。
――愛している？
なんてことだ、私はやはりそれを自覚してしまっていたのだ！ 私はただの生徒で、人質なのに。おっとまた話が元に戻ってしまったか、堂々巡りだ。いや、そうに違いない。私が彼を愛していないのならば、この気持ちは何なのだ。懸命に看病するさくらに嫉妬してしまうこの気持ちは、彼女がいるらしいと風の噂で聞いて心配になっているこの気持ちは、王子様のように彼に口づけすれば、彼は目覚めるのではないかと思うこの気持ちは、何なのだ？
愛というのは難しいね、貴方にそれを教わってみたい、先生。
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鑑 涙栖(プロフ) - luna???さん» ありがとうございます……！何と表して良いか分からないくらい嬉しいです、文面へ普通ですがとても興奮しております。更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。 (2019年2月17日 7時) (
レス) id: 3eec8abc69 (このIDを非表示/違反報告)
luna???(プロフ) - 作品とても面白くて毎日、更新されたか見に来てる位本当に好きです笑また更新待ってます！ (2019年2月16日 23時) (レス) id: 654049e628 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鑑涙栖 | 作成日時：2019年2月14日 16時
