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『えっお店暫く休みですか』



専門の授業が早く終わり、昼過ぎに店に行けば張り紙を準備しているトモさんがいた。
週末はいつも手伝いに来ていたから喋ったこともあるしいてもおかしくはなかったのだけど

その日は水曜日

彼がいることが不思議だった。



トモ「実はね、」



その先の言葉に衝撃を受けることになる




『・・・ユキノさんが、亡くなった?』


トモ「飲酒運転の車が突っ込んできたらしいの」




悔しそうに拳を握る彼
その時の私のことはあまり覚えていない
そのまま何か会話をして、ふらふらを家に帰ったような気がする

季節は梅雨へと向かっていた頃、
お店は暫くの間休業していた


夏休みに入る前日、重たい道具ケースを持ちふらふらと歩く
ふと店のことが気になって帰路を変更した



そしたら、店のシャッターが開いていて
奥にナオさんとトモさんの姿が


私は全力で走った。




『っあの!!お店、開いてますか!?』

トモ「あらAちゃん・・・今日は風通しに来ただけなの。ごめんなさいね」

『そうですか・・・ナオさん、お久しぶりです』



彼はにこりと笑うだけ
いつもなら挨拶してくれるのに、と疑問に思い問うた


が、神様は残酷で




トモ「ごめんねAちゃん。ナオ、声でないの」

『えっお風邪ですか』



トモ「失声症ってわかる?」




鈍器で殴られたような感覚とはこのことだろうか
ケースの重みか分からないがそのままよろけてしまい、すぐさまナオさんに支えられる
その表情は何処か諦めたような表情だった



トモ「だからお店もね、その・・・」



その一言で表情が一変する
そしてスマホに文字を打ち込み始めた




<店は今まで通り続ける。ユキノの大事な店だから>

トモ「でも声が出ないし・・・私が代わりにはいれてもワンオペの日だってできるのよ?」

<なんとかする>

トモ「何とかするってアンタねぇ・・・!!」



目の前で言い合いを始める2人
何故かそれを私は冷静に見つめていた


きっとこの言い合いを聞く前、ユキノさんが無くなるもっと前から
私の中でこの考えがあったのかも知れない。




『っあの!!!!』



ユキノさんのように売上計算とかはできない

でも、
私が貴方の声に、手足となるから


私にとっても大切なこの店を守りたい




だから




『この店で働かせてもらえませんか!!』





思えば人生で一番大きな声が出ていたような気もする



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作品ジャンル:恋愛
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作者名:Z1GSY x他1人 | 作成日時:2019年10月8日 0時

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