いっぱい食べるキミが好き / Fischer's <Mt> (ページ35)

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結局、近隣住民の方が心配して警察を呼んでくれていたようで。
先日店長が呼んだ方と同じ方らしく、事情説明の手間はなかった
けれど相手はまだ学生、此方も職業柄大事にはしたくなかったので
その場での厳重注意及び時間帯が遅かった為に補導という形をとった。

私の理想の勝ち方とはズレたけれど、これが一番平和な終わり方なのかもしれないな、なんて

silk「この件は帰ってすぐ動画にする。いいよな」

『うん。ごめんね迷惑かけて』

silk「それは此方の台詞だろ。ごめん。俺らもう帰るわ。モトキは辻元に話あんだろ?」

その言葉にうん、と頷く彼
あー、嫌だな。怒られるパターンだこれ。
その思いも虚しくシルク君達はぺけたん君を連れて行ってしまった

『と、取り敢えずお店入ろっか』

入れば、そこは人っ子一人いない
ナオさんすらいないのはおかしい。そう思って厨房に入れば１枚のメモが

《客は裏口から避難させた。今日はもうCLOSEするから看板出しておくように。

　看板だしたらあとは好きに使ってよし》

メモを持って私は急いで看板をだしに行く
そして内鍵を閉めた

『今日はもうお店締めるからって、ナオさんが』

motoki「そっか」

『だから、うん、取り敢えず座ろ』

彼が１人で来るときは決まってカウンター席に座る
いつもの席に彼がすわって、私は厨房側に立とうとする
けれどやはりそれは止められて彼の隣に腰掛けた

motoki「まず、言いたいことは?」

『･･･ごめんなさい』

motoki「うん、俺もごめん」

彼が、そして彼らが謝る必要はない
だってこれは一部の過激派が生んだ悲劇だから
この件は私も、ましてや彼らも悪くない

私が謝りたいのはそこじゃないから

『私、魁に嘘ついた。店の新メニューなんて任されてない
　最初にあの子達が店に押しかけてきた時に“家を特定されるかもしれない”って思って
　だからナオさんの家に泊まってた。だから、ごめんなさい』

『あともう１つ。この事はぺけたん君だけ知ってたの。
　偶然店長とあの子達が言い争ってる時に通りかかったらしくてさ。
　口止めしたのは私。本当は彼、皆にすぐ言おうとしていたの。だから彼を責めないであげて』

言葉は涙と一緒にとめどなく流れる

でも心が温かいのは

うんうん、と君が話を聞いてくれているからだろうか

それとも

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そっと私の左手を握ってくれているからだろうか

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