47 グラン ページ50
胸騒ぎがする。
「いつ、拾ったの？」
「時計を持ってきていなかったので……。
２０分か３０分前、でしょうか？
よく覚えていませんが、１時間は経っていないかと」
「ここで拾ったのかい？」
「いえ、ここに来る途中に拾ったんです。あっちの方で。でも、林の中だったので、どのへん、とか詳しくは＿＿」
確かに、この辺はなんの特徴もない林だし、コロナを完全に疑うことはできない。
「そっか。＿＿それ、俺が預かってもいい？」
「え？ ……はい、別に私は構いませんが」
「ありがとう。じゃ、おやすみ。コロナ」
「いえ。おやすみなさい……」
コロナから受け取ったボールをしっかり持って確かめると、踵を返して部屋へと戻る。
なぜ、あんな所にエイリアボールがあったのか。
林の方は練習では使っていない。
誰かが自主練習をしていて、片付け忘れた？
いや、そんなことは考えにくい。
エイリアボールの管理は、そんなに雑なものじゃない。
建物内に戻ってきて、自室に向けていた足を止め、方向を変えた。
その部屋のドアをノックする。
こんな時間になんだと、眠気で不機嫌なその人が出てくるような気がして、
でも、そんなことなかった。
もう寝よう。
明日も練習だ。
それに、明日には帰ってくるかもしれない。
いつもみたいに、周りを明るくする笑顔を見せて＿＿。
そこで気づいた。
もうずいぶん、そんな笑顔を見ていないことに。
よく思い返せば、ずっと、無理をしたような笑みしか見ていない。
いつからだろう。
そんな大事な変化にも気づかないなんて。
ボールを掴む手に力がこもる。
自分の部屋に入り、ドアを静かに閉めたあと、そのまま床に座り込んだ。
「ソチス様……」
数日前の、どこか切なげな表情をふと思い出した。
「ねえ、グラン。あたし、＿＿サッカー、したいな」
「ソチス様？ ＿＿俺で良ければ練習に付き合いますよ。それとも、ガイアのメンバーを呼びましょうか？」
「あっ、ううん。いいの。皆には皆の練習があるもんね。だから……、また今度、機会があれば、でいいんだけどっ」
「ソチス様＿＿」
「じゃ、おつかれー！ 私はもう寝よっかなー」
にっと口角をあげて笑ったソチス様の顔が、今になって蘇る。
あの笑顔は、あの言葉は、どういう意味だったんだろう……。
俺は、彼女にちゃんと向き合ってなかったんだ。
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阿津(プロフ) - †びた†さん» あたたかいお言葉、ありがとうございます！力が出そうです。これからも更新は遅いと思いますが、頑張って仕上げていきます。 (2017年3月7日 23時) (
レス) id: cf0739512b (このIDを非表示/違反報告)
†びた† - ゆっくり自分のペースでやっていただいておkですよ｡待ってます! (2016年8月6日 15時) (レス) id: eb2164e30c (このIDを非表示/違反報告)
阿津(プロフ) - ルミナさん» 遅くなってしまってすみません。わわー、コメントなどなど嬉しいです！ありがとうございます(･∀･*) (2014年11月28日 22時) (レス) id: cf0739512b (このIDを非表示/違反報告)
ルミナ(プロフ) - 設定が好きです。なんか、面白い設定だな〜っと よければ私の小説も^^ (2014年11月14日 0時) (レス) id: 96405fb6db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：阿津 | 作成日時：2014年6月17日 21時
