２ うれしくない言葉 ページ4
お父さんはその日、お話があります、と言って私たちを集めた。
そして今、私たちに向かってお父さんはそのお話をする。
なのにね、全然、うれしくないんだ。
楽しくもない。
お父さんは今、私たちでないなにか別のものを見ている気がする。
こんなの初めてだった。
いつだって、お父さんの話を聞き漏らすまいと全神経を集中させていて、お父さんの声を聴くだけで、笑顔になれた。
大袈裟かもしれないけど、それだけお父さんと話したかったんだ。
大好きだからだ。
「みなさんに、協力してほしいのです」
私の周りのみんなも、誰一人、なにも言わなかった。
ただ、息をのんで、お父さんの話に耳を傾けている。
私は自分の左手で右手を握りしめながら、お父さんを食い入るように見つめている。
どうしても視線を逸らせない。
あんな顔のお父さん、いつもと違うお父さんなんか、見たいと望んでないのに。
なのに……、
不思議な胸騒ぎがしてしょうがなかった。
なにかが崩れ去っていく音が、聞こえる気がする。
私はとうとうお父さんから目をそらした。
わけも分からず、とにかくなにかが不安で、私はみんなを見た。
お父さんの近くにいたヒロトは、ただまっすぐな目でお父さんを見ていた。
その隣にいたリュウジは、ちょっと戸惑いを浮かべている。
私の右隣の治くんは、驚いているような、いぶかしんでいるような、微妙な顔だ。
私の前にいた風介は、さっきから何度も指で髪をすいている。これは、落ち着かないときや、イライラしているときの風介の癖だ。
それから、私の左隣の(人2)は、強く唇をかんでいる。昔から、(人2)は嫌な記憶を思い出している時、自分を痛めつけるかのように唇をかむ癖があった。
そらから、たまたま目についた晴矢は、いつも通りの目つきの悪さは健在で、だた、いつもよりちょっと真剣な顔だった。
私は右手の手首をつかむ左手の力を強める。
根拠はないけど、とにかく、なにかいやな予感がする。
こういう時の私の勘って、結構あたるんだ。
しんとした室内には、お父さんの、柔らかく、でも強い意志のこもった声以外にあるのは、掛け時計の針の正確な音くらい。
なのにどうしてだろう。はっきりと言葉が聞こえない気がするんだ。
ちゃんと聞かなきゃ。
「エイリア石」「力」「サッカー」「世界」…………
途切れ途切れ記憶した言葉は、こんな単語ばかりだった。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
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阿津(プロフ) - †びた†さん» あたたかいお言葉、ありがとうございます！力が出そうです。これからも更新は遅いと思いますが、頑張って仕上げていきます。 (2017年3月7日 23時) (
レス) id: cf0739512b (このIDを非表示/違反報告)
†びた† - ゆっくり自分のペースでやっていただいておkですよ｡待ってます! (2016年8月6日 15時) (レス) id: eb2164e30c (このIDを非表示/違反報告)
阿津(プロフ) - ルミナさん» 遅くなってしまってすみません。わわー、コメントなどなど嬉しいです！ありがとうございます(･∀･*) (2014年11月28日 22時) (レス) id: cf0739512b (このIDを非表示/違反報告)
ルミナ(プロフ) - 設定が好きです。なんか、面白い設定だな〜っと よければ私の小説も^^ (2014年11月14日 0時) (レス) id: 96405fb6db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：阿津 | 作成日時：2014年6月17日 21時
