一編のような彼ら【短編】 (ページ5)

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隣にいる理由ページ5

"明日、13時に映画館でね"

朝の5時に目が覚め
昨日、メッセージが送られてきたトーク画面をじっと眺める

相手は隣のクラスのミンギュ
私の片想いだったはずが、高校2年の秋突然告白されて2週間が経った

『あぁーダメ無理、まだ寝ぼけてるのかな』

デートなんて生まれて初めての経験で、実感が湧かないまま当日

ここまで来たら仕方ない
友人から教えてもらった事を思い出しながら、慣れないけれど沢山時間をかけて準備をした

飼っている猫に不思議がられるくらい何度も鏡を確認して、早めに家を出る

12時25分

『嘘でしょ、なんでもう居るの』

あまりにも早く着きすぎたかと思いつつ映画館のロビーに入ると、奥の壁にもたれかかって携帯を触るミンギュが見えた

予想外の状況に、慌てて近くの化粧室に入る

一瞬だけだったけど、私の目に映った彼の姿を思い出せば早くなる心臓

『隣に立って恥ずかしくないように、ちゃんとしなきゃ』

鏡を見ながら確認し
意を決して、彼がいる場所まで小走りで向かう

『ミンギュ』

｢あれ、早かっ…たね｣

私の声に反応し、顔を上げたと思えば目を見開く彼

｢えと…A？｣

『やっほ
ごめん、なんかおかしい？』

｢いや、いつもと雰囲気違うから
でもよく似合ってる｣

そう言って八重歯を見せて笑う彼に戸惑う

『…それはありがとう
ところで早く来すぎなんじゃない？笑』

｢自分だってそうじゃん笑
それにAのことだから早く来ると思ったんだよ｣

『なんかごめんなさい笑』

｢許してあげる
よし行こう｣

『でも、時間まだじゃないの？』

｢実は1本早いけど今からもあるみたいなんだ
Aが良ければだけど、どうかな？｣

『そうなの？
なら早い方がいいね』

｢そう言ってくれると思った｣

また笑いながら私の手を引いて歩く彼を見る