一編のような彼ら【短編】 (ページ3)

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心のしおりページ3

『あ、居た』

2ヶ月前に、図書室で偶然見かけた中国人留学生のジュンフィくん

その時からだったと思う
つまらない本に囲まれたこの空間を居心地が良いと感じ始めたのは

｢Aちゃん！こんにちは｣

『こんにちはジュンフィくん』

｢今日はどんな本を探しているの？｣

君が私を好きになる呪文が載っている本かな

なんて絶対には言えないけど

『んー…花に関する本？』

｢お花か～｣

テキトーに言ったのに真剣に考えてくれるジュンフィくん

いつも一緒になって探してくれる

もちろんそれは私だけじゃなくて他の子にも同じ、彼はそういう優しい人

｢お花の本か、難しそうだね｣

本の内容のことを言っているのか、場所の話をしているのかは彼にしか分からない笑

『今日のお昼は何食べたの？』

｢麻婆春雨パンとキムチのおむすび！｣

『あはは、美味しそうだね』

「Aちゃんにも今度買ってきてあげる」

『楽しみにしてるよ』

自作かなって思うくらい初めて聞いた食べ物で、ぜひ胃の中を覗き込ませて欲しいよ

それにおにぎりじゃなくてちゃんとおむすびなのも可愛い

「お花の本どこだろうね～」

のんびり歩きながら探す

「ジュンくん何してるの？」

と可愛い女の子が彼に声を掛けた

今日のお喋りはここまでかな

『ジュンフィくん、向こうにありそうだから私行ってみるね、ありがとう』

｢僕何もできなかったけど、どういたしまして｣

バイバイって手を振れば

じゃあね、と必ず変な手の振り方をするのは彼の癖で、毎回違うところも可愛い

いつもなら真っ先に帰るところだけど

今日はなんだか気分が良くて、花に関する本がありそうな所まで行った