伝えたい ページ15
"ごめんね"
"ごめん、アニヤ"
『コマウォ…』
あの子に怒られそうな気がして、海に向かってそう呟く
「A、どうした?」
『ううん、なんでもない』
「行こっか」
『そうだね』
「帰りは私が運転するね」
『ありがとうお姉ちゃん』
「そうだ、こないだ勧めたアーティスト聴いた?」
『あ、誰だっけ』
「ほら、忘れてると思ったのよ
セブチだよ!SEVENTEENって韓国のグループ」
『あ〜…17人のね?』
「13人!」
『セブンティーンなのに?』
「だから〜…」
姉は一生懸命、そのSEVENTEENについて語ってくれてるけど、KPOPに疎くて分からないのでそれとなく聞き流す
「ほら!これ!皆の写真」
『え、全部同じ顔…ってか女性いる?』
「違う、全員男よ」
『うわ〜女泣かせの顔してるね、お姉ちゃん好きそう』
「おっ!よく分かったね、ジョンハンニム」
『ジョン・ハンニム?』
「違う笑
ジョンハンが名前、ニムは様って意味」
『へ〜』
「相変わらず興味ないわね〜
Aが好きそうな曲たくさんあるんだけど
ほらこれでも見ときなさい」
車に乗って、動画が流れる携帯を差し出された
『はーい』
〜♪
고맙다 고맙다 또 고맙다 뿐이지만
〜♪
『ありがとうって歌なの?』
「そう…って韓国語分かるの!?」
『いや、コマプタって単語だけ耳馴染みがあって』
「そう、ね?いい歌でしょ」
『うん、素敵だね』
ふと昔、出会ったある男の子を思い出す
その子は、私の知らない韓国語を話す子だった
民宿を営むうちに初めて来た夏の日、私の母に連れられて一緒にアニメを見たのを覚えてる
アニメが好きで一緒にアニソンを歌ったり、近くの海に連れ出しては遊んでいた
名前こそ忘れてしまったけれど、元気にしてるだろうか
走る車の窓を開けて、潮風に手を当てる
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作者名:ミルクティー信者 | 作成日時:2021年4月14日 16時