一編のような彼ら【短編】 (ページ11)

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次、会う時には_２ページ11

「可愛い顔に涙は似合わないよ」

そっとハンカチで、涙を拭ってくれる

「Aはいつもそうだよね

その人を想って喜怒哀楽を表現できる
感情を出さない僕の代わりに、怒ったり悲しんでくれる。それは今でも変わらない

せっかく離れられたのにな…」

その声は震えていた

私達は出会った時から最後が決まってた

彼はきっと別れが辛くなるのを分かって、そうなる前に私から離れたんだ

そうやって辛いことを全部抱え込んで一人になろうとするのがシュアだったから

「こんな弱い僕でごめんね」

『ううん、違う。あの時は私が幼かったから

別れが辛いなんて知らなかった、一緒にいることが楽しくて先のことなんて考えてなかったの

あのまま本当のお別れが来てたなら、きっとシュアを困らせてたと思う』

「ずっと僕、Aを忘れようとした

我慢すればいいなんて思いながら、僕に好意を向けてくれた人まで傷つけてきた

結局、誰一人大切にできない中途半端な奴なんだよ」

『シュア…』

「我慢することは自分に嘘をついて、時には相手を傷つけることだって、Aが言ってたのにね」

彼は一度だけ私の前で "悔しい" と弱音を吐いたことがあった
事情は聞かなかったけれど、落ち込む彼にそう話したことを覚えている

『確かに我慢して相手を傷つけるのはよくない

だけど誰一人大切にできない、なんて思わないでよ

あの時、黙って居なくなったのは酷く悲しまないよう、私のことを大切に思ってくれたからじゃないの？』

あの時の私は、自分ばかり好きで辛いなんて思ってたから

今の彼を見てやっとわかった

シュアも同じように辛くて、それくらい私の事を想ってくれていたのだと

彼の手を取る

『シュア、私怒ったりしてないよ

ただ…寂しかっただけなの』

「ごめん」

『だからねもう我慢しなくていいんだよ

辛いって正直に話すことが格好悪いなんて思わなくていいから

寂しかった、会いたかったって

泣いてもいいの』

彼の目から涙が溢れていた

初めて見た彼の姿が愛おしくて、思わず抱きしめる

これで最後。もう思い出として心に仕舞うから

「ごめんっ…A」

『謝らないでよ』

「会いっ…たかった」

泣きじゃくるシュアの背中をさする

今たくさん泣いて

次、どこかで会った時は笑っててね

울고 싶지 않아