７話 現世 ページ8
一週間後
「じゃあ行ってくるね」
「行ってきまーす」
「主様、加州さん気を付けて下さいね。幸運を祈ってます！」
「加州の旦那、大将をたのむぜ」
「お土産よろしくねー」
皆に見送られ、ゲートをくぐる。
眩く鮮烈な光に包まれ、思わず目を瞑る。
目を開けると、私が本丸に来る前に過ごした現世に戻っていた。
「主、ここが現世？」
「うん、そうだよ」
清光は初めて見た現世のものに興味津々で目をキラキラさせている。
「まだ１時だからどこかお店行ってみる？」
「え、良いの？じゃああそこが良い！」
清光が指さしたのは可愛らしい雑貨屋さん。チョイスが女子。
「じゃあ入ろうか」
内装も白を基調としたナチュラルな感じで、シンプルな可愛らしいマグカップやポーチなどが
所狭しと並んでいた。
「わぁ・・・」
万屋にはこんな物は無いのでテンションが上がる。
「主！見てこれ！可愛くない？」
清光が持ってきたのは、シトラスやミント、ローズなどの香りが付いた
見た目も可愛い石鹸の詰め合わせだった。
「その商品はプレゼントとしても人気なんですよ」
と店員さんが陳列の手を止めて言う。
「じゃあ本丸に買ってこ！きっと皆喜ぶよ」
清光に促され、石鹸の詰め合わせと、他に気に入ったものを何点か買っていくことにした。
「ご来店、ありがとうございました」
お会計を済ませて店を出る。
「主ありがとう！」
「どういたしまして。あと、もう一つくらいお土産買っておこうかな」
と思い、最近話題のお土産も買っていたらあっという間に時刻は２時になっていた。
「あ、そろそろ向かわなきゃ」
あの家に行かなきゃならないと思うと、さっきまでの楽しかった気持ちが何処かに吹き飛んで
どんよりした暗い気持ちに包まれてしまいそうだ。
でも約束してしまったものはしょうがない。
私は暗い気持ちになりつつもあの家に足を運んだ。
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作者名：るま | 作成日時：2019年4月2日 14時
