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｢誕生日おめでとう！……んー、なんかちがうな｣
いつもは口が裂けても言わない、言えないようなセリフを誰もいない部屋の中で言ってみる。
なかなかいつも素直になれない。本当は海くんにぎゅーってしてもらうのも、頭をぽんぽんしてもらうのも、大好きなのにいつも言えない。本当はもっと甘えてみたいけど、恥ずかしくて甘えられない。だからいつも海くんが甘えてくれる。
カレンダーにこれでもかと言うほど青くマルをしたその日が、明日になろうとしている。プレゼントも買ったし、明日会うための洋服もちょっと奮発して買ってみた。店員さんに勧められるがままにに買った、いつもは着ないようなかわいい洋服。何度も頭の中で何を言って、どう渡そうか考えるけれど頭がショートしそうなくらいにテンパってしまうのだった。
ふとハンガーにかけてある洋服が目に留まり、鏡の前で合わせてみる。本当に似合うかな、心配になってきた。海くんの好みじゃなかったらどうしよう。いつもは動きやすいようなラフな格好しかしないから、スカートをはくのもかわいい服を着るのもかなり久々だ。明日は早く起きてきちんとヘアセットもして、余裕を持って家を出る。緊張しすぎて寝れないのなんていつぶりだろうと思うくらい、緊張してなかなか寝付けなかった。
次の日、結局あまり眠れないまま早くに目が覚めた。いつもと違って髪の毛をゆるく巻いてしっかり化粧をして、海くんが誕生日にくれたネックレスをつけてみた。首元できらりと光るそれに自然と頬が緩む。渡すプレゼントを持って家を出た。
待ち合わせの場所につくと15分前なのにもう既に海くんがいた。帽子をかぶってマスクをしているけどすぐにあれが海くんだと分かる。私に気づいたのか小さく手を振ってくれたので私も振り返す。
｢おはよ、早いね。｣
｢おはよう。んーん、海くんこそ。待ったでしょ？｣
｢俺も丁度着いたばっか。行こっか？｣
ふにゃりと海くんがやわらかく笑うと自然と私の手をとって歩き始める。なんだかデートで外を歩くのは久しぶりで、鼓動が早くなって顔に熱が集まるのがわかる。前を進む海くんの背中をちらりと見ながら、緊張してるのがバレてませんようにと祈った。
帽子をかぶっていても海くんはやっぱりかっこいいから街ゆく人が海くんのことを見ているのがわかる。隣にいるのがわたしで不釣り合いじゃないかな、とちょっぴり不安になったりもした。
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なるせ(プロフ) - すけさん» ありがとうございます(；；)励みになります！ (2018年10月4日 22時) (
レス) id: a45752a8c7 (このIDを非表示/違反報告)
すけ - 全部面白いです！！ 更新待ってます！！ (2018年10月3日 21時) (レス) id: 315a3c6654 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なるせ | 作成日時：2018年8月25日 5時
