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様子がおかしいのはその後だった。
わたしがお風呂から出てくると何かを急いでリュックにしまった佑亮。

「何かしてたの?」
「い、いや……何でもない!!」

明らかに焦っている佑亮。きっと集中しててわたしが部屋のドアを開けるまで気づかなかったんだ。浮気ならきっとスマホを隠すだろうけど、佑亮のスマホは充電中で電源の近くに置かれていた。

「ふーん、へんなの。」

わたしには言えないことって何?ちょっと安心してたのにすぐ不安になって、それがバレないように髪の毛をタオルで拭きながら洗面所へ逃げるように駆け込んだ。

その日は久々に眠れなかった。何度も佑亮のリュックを見てしまおうかとか思ったけど、それで本当に浮気の証拠でも掴んでしまったら立ち直れないと思ってやめた。次の日もいつもの様子で佑亮は練習に向かった。頭から不安や疑問が抜けなさすぎて大学に行く気もしない。あんまりこんなことはしたくないけど、超特急で唯一連絡先を知ってる祐基にメッセージを送り相談に乗ってもらうことにした。



この前菜々子に相談に乗ってもらったカフェで祐基くんに話を聞いてもらう。

「え、最近の佑亮?勿論Aちゃんの話ばっかりだよ!この前のご飯が美味しかったとか、話した内容とか……あ、でも最近メッセージがあんまり返ってこないから、忙しいのかなってしょげてた。」

なんてニッコリ笑顔で言われた。そんなことまでメンバーに言ってるのか…って流石に恥ずかしくなったし佑亮らしいといえば佑亮らしいんだけど、何も変なところはなかった。

「で、でもね、なんかわたしに隠してるの。わたしがメッセージ返すの遅いって言うけど佑亮だって最近あんまり返してくれないし!てかまず、家に来なくなったし…それに、何かこの前リュックに隠すとこみちゃって」

浮気なのかな、という言葉は声にならなかった。言いたいことと、それを認めたくない気持ちがごちゃ混ぜになって鼻の奥がツーンとする。さっきまで鮮明に見えてたコーヒーのカップもぼやけてきて、涙が勝手に目からこぼれ落ちる。

「えっ、ちょっ……Aちゃん?泣かないでよ〜!ほら、ね?」

ネコのように目を大きく見開いてあたふたし出す祐基くん。そんなことないよ、佑亮にはAちゃんだけだよって言ってくれる。結局祐基くんは私が泣き止むまで大丈夫だよってずっと言っててくれた。

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設定タグ:超特急 , 短編   
作品ジャンル:恋愛
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なるせ(プロフ) - すけさん» ありがとうございます(;;)励みになります! (2018年10月4日 22時) (レス) id: a45752a8c7 (このIDを非表示/違反報告)
すけ - 全部面白いです!! 更新待ってます!! (2018年10月3日 21時) (レス) id: 315a3c6654 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なるせ | 作成日時:2018年8月25日 5時

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