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勝手に出てきた涙を拭いながら足早に帰る。なんで、なんでなんでなんで、なんで泣いてるんだろう。なんだったら愛犬が亡くなったのはもう1週間も前で、悲しさや寂しさが振り切ったのか1度も泣かなかった。大きさも、毛の色も全く違うあの犬を見てらなんで私は泣いてたんだろう。

「ていうか、明日も居るんでってなによ…」

飼い主がさっき私に投げかけた言葉を思い出す。その場を早く去りたくて頷いてしまったけど、明日も私が来ると思ってたらどうしよう。ちゃんと顔を見てなかったし、声以外全く覚えてなかった。でも何故か、明日は行かないと行けない気がする。家に着くとまだ9時にもなっていないが親も仕事に出かけていた。ソラの写真を眺めながら、どこか上の空で一日を過ごすのだった。




次の日結局早朝に目が覚めた。眠い目を擦りながら散歩をする身支度をする。どうせなら、カフェによってモーニングを食べてこようと思い小さなカバンに財布をしのばせた。今までの散歩のように軽く化粧をして家を出る。親は早朝から家を出ていく私になんだか珍しそうな驚いた顔をしていた。そりゃそうだ、数日間引きこもってたんだもん。

散歩コースを歩いているが大事なことを思い出した。と、いうかなんで今まで気にとめてなかったんだろう。飼い主さんの顔を全く覚えていないし、一体この辺にいるって、どの辺なんだろう。すれ違うランニングをする人や犬の散歩をする人たちを怪しくならないようチラチラ見ながら歩いた。せめてなんか、わかりやすい所とかを指定してくれたら良かったのに。キョロキョロしているのに恥ずかしくなって俯きながら歩いていると、澄んだ声が後ろからかかった。

「あ、あの……!」

見覚えのない男の人に人間違いかな、と思う。昨日の人は探していたけれども、こんな手足の長いイケメンはお呼びでないぞ。そう思いながら視線を下にやると昨日のわんちゃんが元気そうに鳴いた。

「あっ……え、あ、おはようございます〜」

何故かテンパってしまって、すぐさましゃがむとわんちゃんに逃げる。ふわふわのチワワは嬉しそうに私に飛びついてきた。

「ふふ、かわいい…」
「ちょっ…こらティアラ!」
「…ティアラちゃん、っていうんですか?」
「あ、はい!」

私がしゃがんだのにつられるようにその男の人もしゃがむ。その人の澄んだ綺麗な瞳が私を捉えた。

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設定タグ:超特急 , 短編   
作品ジャンル:恋愛
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なるせ(プロフ) - すけさん» ありがとうございます(;;)励みになります! (2018年10月4日 22時) (レス) id: a45752a8c7 (このIDを非表示/違反報告)
すけ - 全部面白いです!! 更新待ってます!! (2018年10月3日 21時) (レス) id: 315a3c6654 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なるせ | 作成日時:2018年8月25日 5時

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