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大好きなペットが死んでしまった。なんだかその実感がどう頑張っても湧かなくて、でもその日は会社に休みますと連絡を朝からいれた。小学生の頃からずーっとずーっと一緒だったゴールデンレトリバーのソラ。老衰だったのはわかるし小屋の前で眠るように横になったその姿を見てあ、先に逝かれてしまったなぁと思った。

私がソラを大好きだったことを痛いほど知ってる母親はソラの火葬が終わった数日後、部屋から出てこない娘を心配したのか朝からカフェのモーニングを食べに行くと言って私を外に引っ張り出した。目の前に置かれたフレンチトーストも、付け合せのくるみの入った大好きなサラダも全く味がしなかった。不味いとは言えなかったのでとりあえず胃に押し込むようにしておいしい、と笑った。




これを機に持っている有給を使ってしまおうと、1週間ほど仕事を休ませてもらったが逆に家に引きこもるばかりだった。そんな生活が3日ぐらい続くと流石に親にもちょっとは出かけてきなさいと言われる。ソラもいないのに今更どこに、と渋りながらも朝早くに家を出た。

必要最小限のものと、最低限の化粧、シンプルな格好、まるでソラの散歩でも行くかのようにいつもの散歩コースをなぞって歩いていた。自分でもこんな道歩くつもり無かったのに、と思いながらもここまで来てしまったならぐるっとまわって帰ろう。そう思って歩いているの遠くから1匹の小さい犬が走ってきた。きっと逃げたのかな?と思ってしゃがんで待ってみると私に飛び込んでくる。

「わっ!」

思わず声を上げて尻もちをついてしまう。ふわふわの可愛いチワワだ。抱き上げてどうしたの?と聞いてみると顔を舐められる。この感じ、久しぶりだなぁと思って撫でているとそれを追いかけたのか男の人が走ってくるのが見えた。

「ティアラ!まって……て、え……?」

私と戯れるティアラちゃん?を見て硬直する飼い主らしき男の人。逆光でよく見えないが手足が長くてスラッとしている。

「あ、あの!うちの犬がすんません!!」
「いえ…たまに、ありますよね。うちも昔はよく……」
「えっ……あんの、大丈夫ですか?」

立ち上がって犬を渡そうとしたのに視界がぼやけてる。犬が私の頬を舐める感覚があって、初めて泣いていることに気づいた。

「えっ……やだ、ごめんなさい。」

自分でもびっくりして、何が起きてるのかわからなくて犬を押し付けるように渡して来た道を戻る。

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設定タグ:超特急 , 短編   
作品ジャンル:恋愛
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なるせ(プロフ) - すけさん» ありがとうございます(;;)励みになります! (2018年10月4日 22時) (レス) id: a45752a8c7 (このIDを非表示/違反報告)
すけ - 全部面白いです!! 更新待ってます!! (2018年10月3日 21時) (レス) id: 315a3c6654 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なるせ | 作成日時:2018年8月25日 5時

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