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「ほんとお前のそういうとこ、可愛くないよな。」
さっき拓弥に言われた言葉が頭の中でぐるぐる回る。ついカッとなってはぐれてしまった夏祭り。
夏休みだから、いつもはしないネイルをしてみた。浴衣も悩んで奮発して新しいのを買ったし、髪の毛も不器用ながらに頑張ってセットした。ちょっとくらいオシャレしたら素直になれるかなって思ったから。
「たくやのばか……」
思わず口からこぼれた。もう花火が始まってしまう時間だ。今年はたまたまオフで、ゆっくり一緒に見れると思ってたのに。歩き慣れない下駄に自然と視界がぼやけた。
河原へ向かう人達を逆流するように一人で俯きながら歩く。拓弥はどこいっちゃったんだろう。人混みから逃げるように神社へ向かうと不安を加速させるように花火が打ち上がった。
あーあ、始まっちゃった。今日はもう拓弥に会えない気がする。怒って帰っちゃったかな、不幸にもスマホの充電ももうないし大人しく帰ろう、そう思ってせめて涙がこぼれないように花火を見つめていた。
「A!!」
大きな声で呼ばれ振り返ると息を切らした拓弥がものすごい怖い顔をして立っていた。
「あ、拓弥……ご、ごめ」
「ばか。」
わたしの言葉を遮って怖い顔でこっちに来ると力強く抱きしめられる。
「焦った…気づいたら居ないし、電話しても出ないし。」
そう言いながらもわたしの頭を撫でる手は優しい。
「ごめんなさい…わたし、折角お祭りなのに」
泣くつもりなんてなかったのに涙が止まらない。思わず俯くと拓弥に頬に手を添えられて上を向かされる。優しく涙を拭ってくれる。さっきとは違って拓弥の顔は優しかった。
「ほら、いーよ。花火みよっか。」
頭をぽんぽんとされると無邪気な顔で拓弥が笑った。なんだかその顔が愛おしくて返事の代わりに触れるだけのキスをする。恥ずかしいけど、これくらいならいいよね。
「…ん、行こ?」
照れくさくて誤魔化すように拓弥の横に並ぶと袖の裾を握る。何が起きたか分かってない拓弥は大きな目を更に見開いて固まってる。
ちょっとその反応が面白くて、何も言わずにそこから見える花火を眺めていた。
「ほんと……ばか。」
さっきとは違ってどこか嬉しそうに呟いた拓弥に唇を奪われた。
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お気に入り、評価ありがとうございます!
小説は初めてなのですが頑張りますので
暖かく見守っていただけたらと思います、
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なるせ(プロフ) - すけさん» ありがとうございます(;;)励みになります! (2018年10月4日 22時) (レス) id: a45752a8c7 (このIDを非表示/違反報告)
すけ - 全部面白いです!! 更新待ってます!! (2018年10月3日 21時) (レス) id: 315a3c6654 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なるせ | 作成日時:2018年8月25日 5時