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花柄のワンピースとかれこれ5分はにらめっこしている。前に発売された雑誌をチラリと立ち読みしてから行く先々の洋服屋で花柄のワンピースを見つけては買ってみようかなんて悩んでいた。

「似合わないよね…こんなの」

可愛い小花が散りばめられた赤いシフォンのワンピースを持ち鏡の前で合わせてみたりする。何分も合わせたり眺めたりしていると店員さんが可愛いですよねと話しかけてきてそのまま断る隙もなく試着室に押し込まれてしまった。


いざ着てみると普段からこういう服を着ていないせいかなんだかはずかしい。単に似合わないのか、見慣れないから似合わないように見えるだけなのかわからなかった。その後店員さんに押しに押され、ショップバッグを持って店を後にした。そんなつもりなかったのに。本当にこういうのが好みなのかな、でも好きそうだしなぁ。でも好きだったとして、私はいつもそんなの着ないのになんで付き合ったんだろうとか変なことをぐるぐると考える。家に着くとなんだか考えすぎて疲れてしまい、ソファに横になるとすぐ寝てしまった。



ガチャリという鍵が回る音でハッとした。ドアが開いて閉まる音の後に祐基のただいま〜という声が玄関から聞こえてくる。やば、晩御飯も何も支度してない。まだ回らない頭で起き上がると祐基が丁度リビングのドアを開けた。

「ただいま〜……って、寝てた?」
「ん、ねてた。おかえり。」
「あはは、顔に線ついてる〜」
「んー、ごめん。ご飯なんも用意してないや。」

寝ぼけたまま立ち上がるとおかえりのぎゅー!と言って祐基がハグしてくる。かわいいなぁ。祐基の匂いに安心して目を閉じるとなんだかまた眠くなってくる。いつもは恥ずかしくてすぐ離れるけど、今日はそのまま手を回していた。なんだか甘えたい気分になってすりすりと頭をこすりつけてみる。そうすると祐基が私の首筋に噛み付くようにキスをした。首に感じた一瞬の痛みに目が覚めて祐基を見上げると待ってましたと言わんばかりに唇を奪われる。

「今日のAちょーかわいいんだけど。」
「かわいく、ない。」
「ね、食べていい?」
「だ……め!ご飯作るから!」

するりと服の中に伸びてきた祐基の手を掴むとキッチンへ逃げ込む。後ろからはちぇーという声が聞こえたけど聞こえないふり。そのかわりオムライス作ってあげるから、と心の中で言いながら冷蔵庫を開けるのだった。

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設定タグ:超特急 , 短編   
作品ジャンル:恋愛
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なるせ(プロフ) - すけさん» ありがとうございます(;;)励みになります! (2018年10月4日 22時) (レス) id: a45752a8c7 (このIDを非表示/違反報告)
すけ - 全部面白いです!! 更新待ってます!! (2018年10月3日 21時) (レス) id: 315a3c6654 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なるせ | 作成日時:2018年8月25日 5時

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