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「私も拓弥の乾かす!」

そう笑顔で言うから、ソファの下に座る。心地よい温風と、Aの細い指が俺の髪をとかしていく。たまにはこういうのも悪くないなと思った。ドライヤーの音が止むとAが後ろから肩に腕を回してくる。

「…ちょっとだけ、こーしてていい?」

耳元で小さく、掠れた声で呟くように言う。きっと今日ここに来るまで色々我慢してたんだな、そう思いながら腕を上げてAの頭を撫でた。




その後Aの頬の腫れがひくようにテレビを見ながら冷やしていた。そうすると俺の肩にもたれかかってくる。顔を覗くと小さく寝息をたてて寝ていた。時間的にはそんなに遅くない時間だけど、やっぱり疲れたんだろう。抱っこしてベッドに運ぶがなんだかまた軽くなった気がする。きっとストレスでご飯を食べれない日もあるんだろうな。一日の疲れから開放されたように眠るAの顔を見ていたら自然に体が動いていて、Aの頬にキスしていた。…何してんだ俺、今までずっと我慢してきたのに。これ以上Aを見てたら本当に手を出してしまいそうで、慌てて寝室を後にした。いつもなら来客用の布団を用意するけど、なんだかその日は同じ部屋で寝るのが億劫でソファで寝ることにした。



次の日の朝、カーテン越しに差し込む朝日と朝ごはんの匂いに自然と目が覚めた。起き上がって辺りを見回すと丁度Aがキッチンから朝ごはんを運んでいた。

「拓弥おはよう。朝ごはん、できてるよ」
「ん、はよ」

寝起きで掠れた声になってしまった。早く目を覚まそうと顔を洗って朝食の用意されたテーブルにAと向かい合うように座った。

「いただきます」
「はい、召し上がれ」
「…うま。A今日何時に大学終わんの」
「午前だけだから12時半くらいかな」
「じゃあそんくらいに行くわ。飯も食いに行こ。」
「うん!たのしみ!」
「ふっ…ちゃんと講義は受けろよ」
「もう、大丈夫だって」

朝から機嫌のいいAに、つられて笑顔になる。朝食を終えると洋服を悩みはじめ、髪型やアクセサリーも鏡の前であーでもないこーでもないと悩み始めた。

「拓弥の、この前インスタで着てたトレーナー着たいな、」
「あー、いいけど小さいAちゃんには大きいかもな」
「着れるもん!今はオーバーサイズの方がいいのーっ」

そう言いながら嬉しそうに俺の服を着るA。ヘアアレンジもして、いつも以上に可愛くなってニコニコしながら大学へ向かうのを見送った。

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設定タグ:超特急 , 短編   
作品ジャンル:恋愛
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なるせ(プロフ) - すけさん» ありがとうございます(;;)励みになります! (2018年10月4日 22時) (レス) id: a45752a8c7 (このIDを非表示/違反報告)
すけ - 全部面白いです!! 更新待ってます!! (2018年10月3日 21時) (レス) id: 315a3c6654 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なるせ | 作成日時:2018年8月25日 5時

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