one wolf II (ページ10)

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w.m

撮影中黒ちゃんがこっちに背中を向けてこそこそ何かしてるから、気になって見てみれば黒ちゃんの横に座ってるAの顔色が悪くて気づくのが遅くなったことに反省。

MCに夢中になりすぎてたや。

湧「大丈夫か？」

「さむい」

湧「暖房結構聞いてたけど」

「ちがくて、」

何か言いたそうにじっとつま先を見てるAに頭を回転させてカレンダーを見る。
その時にふと横目に入ってきたAがお腹を摩る仕草。

湧「もしかしてちょっと早めに来ちゃった感じ？」

「うん、ごめん」

湧「なんで謝んのAなんも悪くないでしょ、」

「撮影止めちゃったから」

湧「大丈夫だよ、気にすんな、」

湧「薬は飲んだ？？」

「飲んだけど効かなくて、」

湧「とりあえずこれ着ときな？俺もいるからあとちょっと撮影頑張ろうな」

「だめだよ、湧のファンの子が嫌がる」

湧「いいから着といて、それとも嫌？」

着ないでいやいや首を振るから気になって聞いてみれば、「んーん、落ち着く」ってフードも被って着出すからやっぱかわいい。

それに、ちょっと顔色もマシになった気がする。

「もどる」

湧「ん、あともうちょっと頑張ろうな、」

「わく、」

ドアを開けてあげれば、不安そうに掴まれるTシャツの裾。

湧「なーに、そんな顔して」

「あのね、ちょっとだけ」

そう言うとぎゅっと正面から抱きつかれる体。もうこいつほんとに俺を困らせる天才だよ。

腰に手を回してとんとんすれば、「わくありがと」って微笑む。

湧「俺には甘えていいから」

「甘え方わかんないもん」ってぱっと体を離して扉から先に出ていったA。照れたな。

撮影場所に戻れば、みんな各々休憩してて、スタッフさんが「トイレ行ってる人達帰ってきたら再開しよっか」と声をかけてくれる。

湧「な、黒ちゃん」

黒「なに？」

湧「さっきはありがと」

黒「なにが？」

湧「A、気づいてくれんだろ？」

黒「そうだけど、彼氏面しないで」

黒ちゃんとはたまにAのことになるとちょっとバチッちゃう。でも黒ちゃんにもAはわかんない。

まぁ、俺があげたくないだけなんだけど。

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