one wolf II (ページ9)

今日:92 hit、昨日:336 hit、合計:55,622 hit

なんかそんな気がしたページ9

・

k.ku

YouTubeの撮影中。なぜだか横で何度も体勢を変えたりと落ち着きのないAちゃん。

いつも大人しくてたまに呼吸してる？ってくらい動かない時があるから俺の視界の片隅で動くAちゃんが気になって仕方ない。

湧はMCに夢中だから多分気づいてないし。

でも、話しかけるなら今しかない。皆が反対側に座ってる深田とかわたに注目してるからチャンスと思ってちょっと体ごとAちゃんの方に寄って耳元で「大丈夫？」って聞いてちゃんと顔を見れば少し乱れた長い前髪から覗くAちゃんのおでこには汗。

ライブでもそんなに汗をかく体質じゃないAちゃんだからいろんな悪い考えが頭の中によぎる。

「黒田、お水のみたい」

俺の足にのった手。初めてかもってくらいに珍しく甘えるような助けを求めるような手に。Aちゃんの中で緊急事態なんだってことが伝わってくる。

黒「俺のでもいい？」

こくこくと頷くから下に置いてた自分のペットボトルを開けて渡せば、喉をならしてごくごくと水分を体に流し込む。

「ふぅ、｣

ひと息置いたAちゃんは「ありがと」って水を返してくれたけどやっぱり汗をかいて、しかも結構顔色が悪い。

黒「しんどい？」

ちょっと考えた様子をみせたAちゃんに、肩に手をまわして優しく撫でれば「お腹痛いしちょっと気持ち悪い｣って手を胃の辺りに置いてる。

こうやって湧以外の誰かに伝えてくることなんてないから、相当辛いんだと察する。

湧「黒ちゃん大丈夫か？」

こそこそと話してたから、湧が気づいたのかこっちを見て不思議そうな顔。

黒「あ、えっと大丈夫」

湧「１回止めてもらってもいいっすか？」

スタッフさんにそういった湧が立ち上がればこっちにくるから、俺怒られる？と思ったけど俺を通り過ぎてAちゃんの前に行った湧。

湧「大丈夫か？1回外の空気吸いに行くか？｣

っていう湧の言葉に頷いたAちゃんの背中を支えて扉に消えていった湧とAちゃん。

・