one wolf II (ページ6)

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「いや、俺がいく」

俺が立ち上がるとみんなの視線が痛いくらい刺さる。

黒「は？なんで深田が。」

黒ちゃんのいつもより低い声。Aちゃんへの愛が重い黒ちゃんだからこそ怒るのもわかる。でも黒ちゃんは正直なところ適役では無い気がした。

愛が重いからこそ干渉しすぎてしまう部分があるんじゃないかなって。でもそれは皇輝くんだって、わただってそう。

Aちゃんの昔を知ってる人はAちゃんのプライドを傷つけちゃうそんな気がした。

皇輝くんの考えたようなそんな視線とバッチリ目が合ったら「深田頼む」って声に楽屋をでた。

かと言って、Aちゃんの居場所がわかる訳では無い。

Aちゃんがどこにいるかなんて分かりやしないし、湧くんみたいには俺はなれない。

深「いた、」

人通りの少ない階段。体育座りで丸くなって膝に顔を埋めてるAちゃん。

深「風邪ひきますよ｣

隣にスペースを開けて腰掛けたらびくっと肩を揺らす。

「なに？」

不機嫌そうな声に喉から声が引っかかりそうになるけど、俺も変わりたいからさ。変わる時は一緒に変わろうよ。

深「湧くんいなくて寂しいですか？」

「別にいなくても平気。」

嘘。ってすぐわかる。いつもより気にしたスマホに。たまにスマホを見てやわらかい表情になること。全部見てるから。

深「そうっすか。」

無言の時間。そうすればきっとAちゃんは。

「なにしにきたの。」

ほら。話すんだからさ。

深「何かをしにきたわけじゃないですけど、ひとりは寂しいじゃないですか。」

「別にひとり平気だし。」

深「それならいいっすけど。」

また、続く無言。どっか行ってとかひとりにしてとか言わない。
Aちゃんのことは全く俺はわからない。ただ湧くんのことは俺は少しは理解してるつもりだから。

「湧さ、毎日連絡くれる」

深「うん」

「大丈夫？って。それに平気って送る。」

「わくがいなきゃ、どうしたらいいかわかんない。ちゃんとしなきゃって思うのにできない。そんな自分が嫌い。｣

これはきっとAちゃんの本気の悩み。人には得意不得意があるからさ。

深「俺は湧くんとは違います。誰かになりたいなんて言いますけど、なれることなんてないじゃないすか。だから俺はAちゃんの気持ちも100わかることは一生ないです。」

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