one wolf II (ページ19)

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朝早かったからできてなかったメイクをしていれば、横からの視線に見れば、まだ伏せてるけど顔をこちらに向けてる黒田。

「なにそんなに見られたらできないんだけど」

黒「気にしなくていいよ、見てるだけ」

「それが気になるんだって」

黒「なんでそんなに冷たいの」

ってまた伏せちゃった黒田。いつも違うくてこっちもおかしくなりそう。

湧「Aー、」

「なに？」

湧「ボールペンみたいなのない？」

「持ってるけど湧がボールペン？」

湧「馬鹿、メモくらいさせろ笑」

って頭に手を叩く素振りをしつつ乗せてくるからボールペンを渡せばいきなり左手を掴まれる感覚に振り向ければ、黒田が完全に体を起こして片手で携帯をいじりつつ、私の片手を握ってる。

「なに、黒田？｣

黒「べつに」

「じゃあ手離してよ」

黒「やだ」

「なんで」

黒「べつに」

「今日黒田それしか言わないじゃん」

湧「黒ちゃんAの手離してやってよ、Aメイクできねえじゃん」

黒「湧には関係ないし」

湧「何どうした？なんでそんな機嫌悪いの」

黒「わかってるくせに」

あーあ、めんどくさい。逃げようと思っても逃げれないくらい掴まれてる左手。

黒田が1回拗ねだすとめんどくさいし長引くからほんとにやめて欲しい。切実な私の願い。

深「黒ちゃん、ゲームしようぜ」

黒「やだ」

皇「黒田昨日のリハ動画一緒に見ようよ」

黒「無理あとで」

気を使って周りも声をかけてくれけど今日はいつもよりも頑固らしいこの困ったわんこ。

しょーがないな、

「黒田わたしジュース欲しいから奢って」

そう言えば、「ほんと！？奢る！！！いこ！！！」っていきなりハイテンションで立ち上がるからわかりやすい。

黒「Aちゃんはやくー！」

ってこんどは握った手をぶんぶん振り回すからなんかどんどんほんとに犬に見えてくる。今はしっぽブンブン振り回してるよ。

「はいはい、」

黒田に引っ張られるように後ろをつけば、湧に心配そうな顔をされるからだいじょうぶって口パクで伝える。

まぁ、たまにはね。

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