処刑17 ページ18
「クリス...お願いできるかい...?」
ロディは申し訳なさそうにクリスに銃を渡した。
銃を受け取ったクリスは酷く震えており、涙を流していた。
「や、やっぱり俺には人を殺すことなんかできねえ...。」
その声は酷く震えていた。
「でも処刑しなければ、また他の人が殺されるかもしれない。僕もクリスも人狼の餌食になるかもしれないんだよ。」
ロディも悲しそうにクリスに言った。
その言葉を聞き、クリスはサンドラに銃を向けた。
サンドラは諦めたように下を俯いており、ジェシカは悲鳴を上げた。
私たちはその場に立っていることしかできなく、サンドラ、ジェシカ、そしてクリスを見守ることしかできなかった。
誰もがこの状況に涙を流していた。
クリスの雄叫び、響く銃声、ジェシカの悲鳴、サンドラの最後の叫び。
それが脳内に響き渡った。これは、決して忘れることは無いだろう、私の後悔の一つだ。
登山なんてしなければこんな思いはしなかっただろう。私は私がした行動と何より隣にいる大好きな彼を巻き込んでしまったこと、そして、サンドラを殺してしまったことに絶望した。
「いやぁぁぁぁあ!姉様、姉様!!」
ジェシカの悲鳴が響き渡る。
「貴方たちは全員が姉様を殺したんだわ!!貴方たちこそ人狼よ!!貴方たちを絶対に許さない!殺してやる!」
ジェシカはそう言い、血だらけで横たわったサンドラを抱き泣いていた。
「ご、ごめん...。」
クリスは絶望した顔で走り去った。
その後を追うようにロディも去って行った。
リリアンは泣きながら「ごめんなさい、ごめんなさい...。」と繰り返しその場を去った。
バニラは険しい顔でその場を見つめており、泣き崩れているエマを支え部屋に戻って行った。
私たちもお互い泣いており、サンドラたちを横目に部屋に戻った。
きっと...きっとこれで良かったのだ。
サンドラは人狼だったに違いない。
きっと明日から平穏な日常が戻ってくるに違いない。
私はそう自分に言い聞かせた。
それからファイとの会話はなく、私たちはお互いベッドに入り眠りについた。
まだ脳裏に銃声と悲鳴が鳴り響いている。
もしこれでサンドラが人狼じゃなければ、私は明日からどう生きれば良いのか。
これは私の罪だ。もしも人狼がいるなら、サンドラの処刑を止められなかった私を殺してはくれないだろうか。
そんなことを思いながら、疲れていたため私は眠りについた。
3人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:とらんぷ | 作成日時:2018年11月5日 23時