【ヴィル&エペル】-毒リンゴ-※一人称(リクエスト作品) ページ35
※夢主さまside
「ねぇ、美味しい林檎はいかが？」
「カット！ 全然ダメ！！」
ヴィル先輩の怒声がオンボロ寮の玄関に響き渡る。
グリムもすっかり怯えて、2階の自室に閉じこもって出てこないし。
こうなってしまったのは1時間前にさかのぼる。
授業が終わり、ようやく寮に帰れると思った矢先ヴィル先輩からオンボロ寮を撮影場所として貸して欲しいと頼まれたのだ。
訳を聞いてみると、映画研究会の活動で新作映画を作るためだそうだ。
断る理由もなく了承した……のは良いが、ヴィル先輩の鬼コーチっぷりが止まらず今に至る。
「ヴィルサン。僕、演技なんてしたことありません。だからもう」
「ダメよ。林檎売りの少年役はアンタじゃないと務まらない」
VDCが終わって良好になってはいるけど、この2人は相変わらずだな。
「A。アンタからも何か言ってちょうだい」
え、私に振るんですか？
という言葉を飲み込んで別の言葉を探す。
「えっと、ヴィル先輩は理由もなしに怒る人じゃない。そして自分の映画にエペルをキャスティングしたのも、あなたを必要だと思っているからだって私は思うの」
「Aサン……ありがとう。ヴィルサン、もう一回お願いします！」
「ええ、じゃあ行くわよ」
そして再開した撮影。
こんな風に間近で見たのは初めてだけど、さっきとは違う緊張感が包み込む。
「ねぇ、美味しい林檎はいかが？」
同じセリフのはずなのに、さっきとは全然違う。
儚げで、愁いを帯びた表情と声……。
エペルってすごい。
「カット！ 良い画が撮れたわ、やるじゃないのエペル」
「はい！」
ヴィル先輩に褒められて、エペルも嬉しそう。
撮影も成功したし良かった。
「A、アンタのおかげで上手くいったわ。ありがとう」
「いえ、私は何も」
「謙遜しないの。まだ撮影があるから、お礼はまた今度するわ」
そう言い残して去っていくヴィル先輩とエペル。
さて、グリムに終わったこと伝えに行かないと。
＊＊＊
「エペル。アンタって単純な男ね」
「そうですか？ ヴィルサンも、わざわざ撮影場所をオンボロ寮にしたのって……魂胆が見え見えですよ」
「あら、何のことかしら？」
-fin-
★【ポムフィオーレ寮・ヴィル】-世界一美しい人-※一人称(リクエスト作品)→←【マレウス&アズール】-身の程知らず-※一人称→三人称(リクエスト作品)
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Licht-リヒト-(プロフ) - 星猫さん» ありがとうございます！！ (2021年8月9日 3時) (
レス) id: 19ef628842 (このIDを非表示/違反報告)
Licht-リヒト-(プロフ) - 紫陽花中毒さん» 喜んで頂けて良かったです！ とても嬉しいお言葉も頂けて幸せです、本当にありがとうございます！ (2021年8月9日 3時) (レス) id: 19ef628842 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 完結おめでとうございます (2021年8月8日 11時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - とっても素敵ですね！ありがとうございます。 (2021年8月8日 11時) (レス) id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花中毒 - Licht-リヒト-さん» リクエストに応えて頂き、ありがとうございました！助けてくれたジェイドとか、美しすぎて卒倒しそう…美しく、そしてキャラの魅力を引き出す作品を作ってくださり、ありがとうございます！ (2021年8月8日 10時) (レス) id: 36b405f351 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Licht-リヒト- | 作成日時：2021年7月7日 22時
