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【スカラビア寮・ジャミル】-1日遅れの誕生日-※三人称 ページ8

「ジャミル先輩!」

放課後。

寮に戻る為に廊下を歩いていると声をかけられ、ジャミルは足を止めて振り返る。

「Aじゃないか。どうしたんだ?」

何か慌てた様子のAに声をかける。

「あ、あの……遅くなってしまったんですけど誕生日おめでとうございます!!」

そう言って深々と頭を下げた。

ジャミルはその行動に驚き、目を丸くしながらも柔らかい笑みを浮かべる。

「ありがとう」

未だに頭を下げる彼女の肩にポンと手を置く。

すると彼女は安心したのか弱々しい笑みを浮かべた。

「い、いえ……先輩の誕生日を知ったのが今日だったのでプレゼントとかも何もなくて」

すみませんと小さく呟いたA。

「そんなに気を落とす事でもないだろ? たかが誕生日で」

「たかがって……誕生日はその人が生まれた日じゃないですか! 私はジャミル先輩が生まれてきてくれて嬉しいんです!」

必死になって訴えるAの勢いにジャミルは目を見開く。

今まで誰かにこんな事を言われた事はなかった。

自分はアジーム家に仕える従者であり、主よりも目立ってはいけない。

その概念があった為か、ジャミルは自分の誕生日を特別だとは思っていなかった。

しかし今のAの言葉でジャミルは初めて誕生日があって良かったと思えた。

「ありがとう。俺はあまり自分の誕生日に無関心だったが、君のおかげで良いものだと思えたよ」

そう言ってジャミルは流れるような仕草で膝まづき、Aの手を取る。

「生まれてきて最高のプレゼントをもらったよ、ありがとう」

「いえ、そんな大した事はしてないですからっ」

Aは恥ずかしいのか頬を赤らめている。

その様子に心が温かくなるのを感じながらジャミルは立ち上がる。

「君の誕生日に何かお返しをしなくてはな。楽しみにしていてくれ」

ジャミルはAの頭を一撫ですると、スカラビア寮へと帰って行った。-fin-

【スカラビア寮・カリム】-水遊びと秘密-※一人称(リクエスト作品)→←【オクタヴィネル寮・フロイド】-泣いている君に触れたくて-※一人称(リクエスト作品)



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Licht-リヒト-(プロフ) - ハイドさん» いえいえ! ご希望に応えられたようで安心しました! 「カリムって大切な人が傷つけられている場面を見ると、人格変わりそう……」と実際は分からないんですけど、そうだったら良いなぁと思いながら書いていました! リクエストありがとうございます! (2020年10月14日 13時) (レス) id: dfd8bd8685 (このIDを非表示/違反報告)
Licht-リヒト-(プロフ) - ミリアさん» 出来ました! こんな感じで大丈夫だったでしょうか? (2020年10月14日 13時) (レス) id: dfd8bd8685 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - リクはトレイでお願いします。 (2020年10月13日 13時) (レス) id: e8a27bc902 (このIDを非表示/違反報告)
ハイド - Licht-リヒト-さん» リクエストに応えて頂き、ありがとうございます!あかん、スカラビア組で一番怒らせちゃいけないの、カリムだあ…ジャミルも怒らせちゃいけないんだけど(ガクブル (2020年10月13日 9時) (レス) id: c3c1291a5b (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 凄く良いですね。 (2020年10月12日 20時) (レス) id: dba8a79b51 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Licht-リヒト- | 作成日時:2020年9月10日 18時

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