【スカラビア寮】-その時初めて、君が大切なんだと知った-※三人称(リクエスト作品) ページ47
「遅いわね……」
ポムフィオーレ寮のボールルームで、ヴィルは落ち着かない様子で時計を見る。
「確かに遅い。もしかしたら彼女の身に何か……」
ルークも眉を下げながら呟く。
「やっぱり買い出しは新ジャガに行かせればよかったわ」
ヴィルは自分の判断ミスに唇を噛む。
1時間ほど前にヴィルはAに、食材と掃除用具の買い出しを頼んでいた。
しかし一向に帰ってくる気配はない。
グリムも一緒に行かせた方が良かったと、後悔する。
「どうしたんだ？」
ヴィルとルークの様子に気づいたカリムとジャミルが、歩いてくる。
「1時間経ったのにAがまだ戻ってこないのよ」
「じゃあオレたちが捜してくるな！」
そう言ってカリムはジャミルを連れて、ボールルームを飛び出してしまった。
「カリム……後でヴィル先輩に咎められるぞ」
ジャミルは深いため息を吐きながら、彼の隣を歩く。
「でもヴィルだって心配してたし大丈夫じゃないか？」
純粋無垢な笑顔を見せるカリム。
ジャミルが呆れた目でカリムを見つめていたその時、視界にAの姿が映る。
「ジャミル？ どうしたんだ？」
カリムも彼の視線に気づいたのか、後ろを振り返る。
「A……？」
二人の視界に入った彼女は、3人の男に絡まれていた。
「お前最近、調子に乗り過ぎてね？」
「そーそー。寮長たちのお気に入りだって言うけど実際の所は何したわけ？」
「一緒に寝ちゃったり？」
好き勝手に暴言を吐く男たち。
「違う……違いますっ！！」
全力で否定するAに男の口元がニヤリと歪んだ。
「へぇ、じゃあ確かめさせてもらおうか」
男の手がAへと迫る。
襲われると思い、目を強く閉じたA。
しかし何も起こらない。
恐る恐る目を開けると、男たちは水に包まれていた。
「カリム、もうやめるんだ。死んでしまう」
「……ああ」
ジャミルの優しい声にカリムはマジカルペンを下ろす。
それと同時に男たちを包んでいた水は消えた。
「ゴホッ、ゲホッ！ 何すんだ！」
「何をする？ お前たちは俺の主を怒らせてしまったんだよ。消えろ」
ジャミルの怒気を孕んだ、冷酷な声に男たちは身の危険を感じたのか逃げていく。
Aは安心したのか、崩れ落ちそうになる。
しかしカリムに支えられて何とか持ちこたえた。
「大丈夫か？ 怖かったよな、助けるのが遅くなってすまん」
「もう大丈夫だ」
二人の優しい声にAは心からの感謝を伝えた。-fin-
【ハーツラビュル寮・トレイ】-名前で呼びたい-※一人称(リクエスト作品)→←【ディアソムニア寮・シルバー】-剣の稽古-※三人称(リクエスト作品)
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Licht-リヒト-(プロフ) - ハイドさん» いえいえ！ ご希望に応えられたようで安心しました！ 「カリムって大切な人が傷つけられている場面を見ると、人格変わりそう……」と実際は分からないんですけど、そうだったら良いなぁと思いながら書いていました！ リクエストありがとうございます！ (2020年10月14日 13時) (
レス) id: dfd8bd8685 (このIDを非表示/違反報告)
Licht-リヒト-(プロフ) - ミリアさん» 出来ました！ こんな感じで大丈夫だったでしょうか？ (2020年10月14日 13時) (レス) id: dfd8bd8685 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - リクはトレイでお願いします。 (2020年10月13日 13時) (レス) id: e8a27bc902 (このIDを非表示/違反報告)
ハイド - Licht-リヒト-さん» リクエストに応えて頂き、ありがとうございます！あかん、スカラビア組で一番怒らせちゃいけないの、カリムだあ…ジャミルも怒らせちゃいけないんだけど(ｶﾞｸﾌﾞﾙ (2020年10月13日 9時) (レス) id: c3c1291a5b (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 凄く良いですね。 (2020年10月12日 20時) (レス) id: dba8a79b51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Licht-リヒト- | 作成日時：2020年9月10日 18時
