【ハーツラビュル寮・ケイト】-応援してるよ-※一人称 ページ35
ケイトside
今日もオレは良い先輩を演じなければならない。
君が求めるけーくんをね。
「ケイト先輩！ 今日トレイ先輩が！」
君はまた今日も、オレの元へ嬉しそうに報告しにくる。
Aちゃんがオレにトレイの話をしに来るようになったのは一週間くらい前。
思い出したくもない、あの日だ。
『ケイト先輩ってトレイ先輩と仲良いですよね？』
『うん。良いけど、どーしたの？』
『実は私、トレイ先輩の事が好きで』
『え』
『だからトレイ先輩と仲がいいケイト先輩にアドバイスを頂ければなと……』
『そっかそっか〜。そういう事ならけーくんに任せて！』
それからというもの、彼女は何かあればオレの元へ来るようになった。
正直ツラくて苦しいけど彼女との時間は心地が良かった。
でもやっぱり、胸の痛みは消えてくれなくて。
「私そろそろトレイ先輩に告白しようと思っていて」
「お、良いんじゃない？ 善は急げって言うしレッツ、ゴー！」
オレは半ば強引に彼女を送り出す。
あー、ついにこの日が来ちゃったか……。
好きな子が他の男の所に行っちゃう。
「やだなぁ……」
あれ……オレ、泣いてる？
うわ、カッコ悪いな。
その日。
オレは静かに泣いた。
次の日、Aちゃんは嬉しそうにオレの元へ訪れた。
「ケイト先輩！ 私、トレイ先輩とお付き合いする事になりました！」
「ほんと！？ おめでと〜！」
おめでたくなんかない。
「ありがとうございます！ これも全部ケイト先輩が応援してくれたおかげです！」
応援したくなかった。
引き止めたかった。
「ほら……早くトレイくんのとこに行ってきなよ」
行くな。
行かないで。
言葉と裏腹に、オレの心の中は否定的な事ばかり。
何も知らない彼女は走り去っていく。
トレイの元へ……。
息が、苦しい。
胸が、痛い。
「オレの方が……君を愛しているのに」
昨日あれほど泣いたのに、また溢れてくる。
涙は枯れる事を知らない。
「う゛っ……くっ」
オレは立っていられなくなって、近くの壁に寄りかかる。
「ふぅ……はぁ……」
こんなにツラいんだ。
誰かを好きになるって……。
ああ、また明日も良い先輩を演じなければいけないのかな……。
「そんなのもう、ウンザリだ……なんてね」
やっぱりオレは……オレという存在を捨てきれないみたいだ。
-fin-
【オクタヴィネル寮・アズール】-本当に依存しているのは-first※三人称(リクエスト作品)→←【ハーツラビュル寮・トレイ】-手を伸ばせばいいだけ-※一人称(リクエスト作品)
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Licht-リヒト-(プロフ) - ハイドさん» いえいえ！ ご希望に応えられたようで安心しました！ 「カリムって大切な人が傷つけられている場面を見ると、人格変わりそう……」と実際は分からないんですけど、そうだったら良いなぁと思いながら書いていました！ リクエストありがとうございます！ (2020年10月14日 13時) (
レス) id: dfd8bd8685 (このIDを非表示/違反報告)
Licht-リヒト-(プロフ) - ミリアさん» 出来ました！ こんな感じで大丈夫だったでしょうか？ (2020年10月14日 13時) (レス) id: dfd8bd8685 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - リクはトレイでお願いします。 (2020年10月13日 13時) (レス) id: e8a27bc902 (このIDを非表示/違反報告)
ハイド - Licht-リヒト-さん» リクエストに応えて頂き、ありがとうございます！あかん、スカラビア組で一番怒らせちゃいけないの、カリムだあ…ジャミルも怒らせちゃいけないんだけど(ｶﾞｸﾌﾞﾙ (2020年10月13日 9時) (レス) id: c3c1291a5b (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 凄く良いですね。 (2020年10月12日 20時) (レス) id: dba8a79b51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Licht-リヒト- | 作成日時：2020年9月10日 18時
