ツイステッドワンダーランド短編集-2nd-

【サバナクロー寮】-一緒にダンスを-※一人称(リクエスト作品) ページ32

ラギーside

昼休み。

いつも通りオレはレオナさんを呼ぶために植物園へと足を向けた。

でも、本来いるべき場所にレオナさんの姿はなかった。

匂いはするのに姿見えないとか……。

植物園にいる事は間違いないけど、どこ行ったんだよ。

「え……」

匂いを辿って歩いていると、レオナさんを見つけた。

そして楽しそうに踊るAくんの姿も。

「ラギー先輩」

声がかけられた方に目を向けるとジャックくんが立っていた。

「あれ、何スか？」

「最初はAだけが踊ってたんですけど、レオナ先輩が来て楽しそうだからって」

ジャックくんの説明を聞いてオレは納得する。

「じゃあオレらも行きましょ！ レオナさんだけ独り占めはさせないッス！」

オレはジャックくんを連れてレオナさんたちの元へ走る。

「あ、ラギー先輩とジャック！」

「お邪魔するッスよ！」

Aくんは嬉しそうな笑顔を向けてくれるけど、レオナさんは機嫌が悪そうに舌打ちをする。

シシシッ……二人きりにさせるわけないじゃないッスか。

「Aくん、オレらとも踊りましょうよ。それ！ 愚者の行進(ラフ・ウィズ・ミー)！」

ユニーク魔法を唱えると彼女はオレと同じ動きをする。

最初は戸惑っていたが、動きに慣れたのか楽しそうにしている。

「どうッスか？」

「楽しいです！ ラギー先輩ってダンスがお上手ですね！」

花が咲くような笑顔……って言えば伝わりますかね。

上目遣いでオレを見る彼女のせいで、顔に熱が集中するのが分かる。

「おい……草食動物。いつまでラギーと踊ってる」

動きを止めてレオナさんを見ると、威嚇するように喉を鳴らしている。

あーあ、Aくんが怯えちゃってるじゃないッスか。

「ダメですよ、レオナさん。順番は守りましょうね？」

わざと彼女の耳に唇を寄せると、より一層レオナさんは機嫌が悪くなった。

「次は俺も！」

授業でもないのに手を上げるジャックくん。

ほんっと真面目ッスよね。

「良いッスよ。じゃあ次はジャックくんで」

「よっしゃ！」

オレが許可すると、ジャックくんは嬉しそうな声を上げる。

「サバナクローの人って踊るのが好きなんですね！」

のんきに笑っているAくんは思いもしてないでしょうね。

オレたち三人が、アンタに惚れてるって事も。

番にしたくて仕方ないって事も。

まぁ最後はオレがもらいますけどね、シシシッ。-fin-

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