【ポムフィオーレ寮・ヴィル】-毒の君-final※三人称 ページ13
ポムフィオーレ寮へと着いたヴィルとルーク。
「それじゃ、お休み。ルーク」
「うん。また明日」
ルークと別れたヴィルは自室へ入ると、ベッドにAを寝かせる。
「アンタは思ってもないでしょうね。何の関わりもないアタシに好かれてるなんて」
ヴィルは愛おしそうにAの頬を撫でる。
「手袋は……外した方が良いかしらね」
付けていた手袋を外したヴィルはベッドへと腰かける。
反動でギシっとスプリングの音が鳴る。
「明日からアンタがいないって学園中は大騒ぎになるわね。でも、絶対にアンタの居場所は教えない」
眠るAの額に唇を落とすヴィル。
「やっと手に入れた……美にしか興味がなかったアタシをここまで夢中にさせたアンタを逃がす訳にはいかない」
ヴィルはそのままAの瞼、頬へと唇を落としていく。
しかし唇には触れず指でなぞるだけ。
「愛しているわ。アタシだけのA」
うっとりとした表情でAの頬を両手で包み込むヴィル。
なぜ彼はここまで彼女に執着しているのか。
なぜ彼女を眠らせたのか。
なぜ彼女を愛しているのか。
その真実は……眠るAには知る由もないだろう。
愛されているという事実さえも。
***
自室に戻ったルークはベッドに座りながら先程の出来事を思い出す。
「恐ろしいほどの美しさだったね。ヴィルらしいと言えばヴィルらしいけど」
ルークの脳裏に昼間のヴィルとの会話が思い起こされる。
『おや、ヴィル? 何を作っているんだい?』
『毒薬よ』
『誰に使うつもりだい?』
『気になるなら、今夜アタシに着いてきなさい』
『ウィ。そうさせてもらうよ』
ルークは思い出しながらベッドに倒れこむ。
「まさかトリックスターにあそこまでご執心だったとは。ヴィルも容赦がない……」
だがそんなヴィルも美しいとルークは楽しそうに笑う。
「明日から忙しくなりそうだ」
ヴィルの美しさを邪魔する獲物を確実に射止める為、ルークは起き上がり弓矢の手入れを始める。
「終わりこそ美しく……そうだろ?
ルークはヴィルの歪んだ愛さえも美しいと捉え、忠誠度の高さを露わにした。
翌日。
学園ではAがいないと大騒ぎになっていた。
そして同時にAを捜索していた一部の生徒が忽然と姿を消したという事件が起こったという。
-fin-
【ディアソムニア寮・マレウス】-忘れたくなかった-※三人称→←【ポムフィオーレ寮・ヴィル】-毒の君-second※一人称→三人称
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Licht-リヒト-(プロフ) - ハイドさん» いえいえ! ご希望に応えられたようで安心しました! 「カリムって大切な人が傷つけられている場面を見ると、人格変わりそう……」と実際は分からないんですけど、そうだったら良いなぁと思いながら書いていました! リクエストありがとうございます! (2020年10月14日 13時) (レス) id: dfd8bd8685 (このIDを非表示/違反報告)
Licht-リヒト-(プロフ) - ミリアさん» 出来ました! こんな感じで大丈夫だったでしょうか? (2020年10月14日 13時) (レス) id: dfd8bd8685 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - リクはトレイでお願いします。 (2020年10月13日 13時) (レス) id: e8a27bc902 (このIDを非表示/違反報告)
ハイド - Licht-リヒト-さん» リクエストに応えて頂き、ありがとうございます!あかん、スカラビア組で一番怒らせちゃいけないの、カリムだあ…ジャミルも怒らせちゃいけないんだけど(ガクブル (2020年10月13日 9時) (レス) id: c3c1291a5b (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 凄く良いですね。 (2020年10月12日 20時) (レス) id: dba8a79b51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Licht-リヒト- | 作成日時:2020年9月10日 18時