【ポムフィオーレ寮・ヴィル】-毒の君-second※一人称→三人称 ページ12
※夢主さまside
「アンタ、もうちょっと前を歩いてくれる？ 小さいから心配になるのよ」
そう言いながら私の背中を押して、前を歩かせるヴィル先輩。
どうして先輩は何の関わりもない私を心配してくれるんだろうか。
私の中でのヴィル先輩は、自分にも他人にも厳しい人だった。
でも今の時点でそのイメージは取り払われてしまった。
優しくて気配りが出来て、すごく良い人だなと思う。
「危ないっ！」
「え？」
考えごとに夢中になっているとヴィル先輩の声が聞こえると同時に、腕を力強く引かれる。
「アンタ……急に道をそれないで頂戴。アタシが後ろを歩いていて良かったわね」
木にぶつかる所だったわよと、頭を軽く小突かれてしまった。
「す、すみませんっ！ ありがとうございます」
私は恥ずかしくなり、ヴィル先輩から目を逸らしてしまう。
「あら、どうして目を逸らすのかしら？」
ヴィル先輩に顎を掬われ、顔を上に向けさせられる。
「あ、の……先輩っ」
「何かしら？」
「顔が、近いですっ」
至近距離で見つめ合うのに慣れていないから、恥ずかしさが勝ってしまう。
「そうね」
ヴィル先輩は微笑むだけで私を解放する気はないようだ。
「顔が真っ赤ね。林檎みたい……」
そう言った彼の瞳が妖しく光る。
そしてそのまま私の唇はヴィル先輩によって封じられた。
何かを飲まされる感覚に戸惑いながらも急激な眠気が襲い、私の意識は途切れてしまった。
＊＊＊
ヴィルは眠ってしまったAの体を姫抱きにする。
「無防備すぎるわね……まぁ、アタシにとっては好都合だったけど。ルーク！」
「呼んだかな？
ヴィルの呼びかけに応じて近くの茂みから顔を出したルーク。
「Aを寮に運ぶわ」
「ウィ、分かったよヴィル」
ルークは何も疑問を持たずにヴィルの隣を歩く。
「しかしキミをここまで夢中にさせるとはね。さすがはトリックスター！」
ルークはヴィルの腕の中で眠るAを褒め称える。
「静かにしなさい。Aが起きるわよ」
「そうなのかい？」
ルークは面白そうにヴィルへと目を向ける。
「冗談に決まってるじゃない。アタシの毒から目覚めようだなんて、許さないわ」
そう言ったヴィルはポムフィオーレ寮へと足を進めた。
-To be continued-
【ポムフィオーレ寮・ヴィル】-毒の君-final※三人称→←【ポムフィオーレ寮・ヴィル】-毒の君-first※一人称
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Licht-リヒト-(プロフ) - ハイドさん» いえいえ！ ご希望に応えられたようで安心しました！ 「カリムって大切な人が傷つけられている場面を見ると、人格変わりそう……」と実際は分からないんですけど、そうだったら良いなぁと思いながら書いていました！ リクエストありがとうございます！ (2020年10月14日 13時) (
レス) id: dfd8bd8685 (このIDを非表示/違反報告)
Licht-リヒト-(プロフ) - ミリアさん» 出来ました！ こんな感じで大丈夫だったでしょうか？ (2020年10月14日 13時) (レス) id: dfd8bd8685 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - リクはトレイでお願いします。 (2020年10月13日 13時) (レス) id: e8a27bc902 (このIDを非表示/違反報告)
ハイド - Licht-リヒト-さん» リクエストに応えて頂き、ありがとうございます！あかん、スカラビア組で一番怒らせちゃいけないの、カリムだあ…ジャミルも怒らせちゃいけないんだけど(ｶﾞｸﾌﾞﾙ (2020年10月13日 9時) (レス) id: c3c1291a5b (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 凄く良いですね。 (2020年10月12日 20時) (レス) id: dba8a79b51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Licht-リヒト- | 作成日時：2020年9月10日 18時
