【オクタヴィネル寮・ジェイド】-海よりも深く、空より高く-third※一人称 ページ37
フロイドside
「それで？ どういう事？」
オレはジッとアズールからの次の言葉を待つ。
「ジェイドは何も覚えていないんです。彼女と喧嘩していた事も、彼女を愛していた事も」
「は？」
アズールは冗談なんて言わないし、至って真面目だ。
何で、どうして。
「昨日の夜、ジェイドが僕の部屋を訪れました。そして、記憶を消して欲しいと頼んできました」
＊＊＊(回想)＊＊＊
「いきなり何を言い出すんです？」
アズールは眼鏡をかけ直しながらジェイドに問う。
「そのままの意味ですよ。僕の中にあるAさんとの記憶を消して欲しいのです」
「それは今回の件と関係ありますか？」
「はい」
「理由を聞いても？」
アズールの問いにジェイドは目を伏せ何も言おうとしなかった。
「はぁ……分かりました。理由を聞くのも野暮でしょう」
「ありがとうございます」
ジェイドは安堵の息を吐く。
「念のためAさんの記憶も消しておきましょう」
「そうして頂けると助かります」
＊＊＊(回想・終了)＊＊＊
「は！ 何それ！ それでジェイドの記憶消したの！？」
アズールの話を聞いて違和感の正体は分かった。
「対価は！？ てか理由は！」
「対価はもらっていませんよ。理由も聞いていません」
アズールはいつも冷静で先を見据えている。
でも今回の件では違くね？
「全然分かんねーんだけど。もっと分かりやすく教えてくんね？」
「ジェイドは心から彼女を愛していた。だからこそ険悪になる事が耐えられなかったんでしょう」
「そんなの謝ればよくね？」
「それが出来ない状況だったのでしょう。僕だって分からない事ばかりなんです」
謝っても仲直り出来ないって事？
ジェイドは小エビちゃんに何したの？
聞こうにも二人には記憶ねーし……。
「なんで対価をもらわなかったの……？」
「記憶を失うという事は……愛を失うという事です。それは死よりも残酷な事だと、僕はあの二人を見て学びました」
アズールは水槽をジッと見つめながら話を続けた。
「僕は今まで誰かを愛した事などありませんでしたから、愛や恋など理解できなかった。ですがあの二人を見て、昨日のジェイドの覚悟を見て、僕は認めざるを得なかった。人を愛する事の喜びや悲しさを……。昨日のジェイドを見たらフロイドも僕の気持ちが分かるはずですよ」
-To be continued-
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Licht-リヒト-(プロフ) - 雪華さん» リクエストありがとうございます！ 続編に書きましたのでリンク先からどうぞ！ (2020年9月10日 18時) (
レス) id: dfd8bd8685 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - リクはトレイで甘夢でお願いします。 (2020年9月9日 19時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - ケイトのお話とクロウリーのお話も良いですね！ (2020年9月9日 14時) (レス) id: c52f7f856a (このIDを非表示/違反報告)
Licht-リヒト-(プロフ) - 星猫さん» ケイトの話、こんな感じでいかがでしょうか？ (2020年9月9日 12時) (レス) id: dfd8bd8685 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - リクはケイトでお願いします。 (2020年9月9日 6時) (レス) id: e8084d140d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Licht-リヒト- | 作成日時：2020年8月20日 22時
