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「…なぁ、どうすんだよ?」
「………」
兄上…王様の決心は固かった。
『自分は退位する。
その代わりといってはサトシに申し訳ないが
どうかワターベとサワーべにも寛大な措置を頼む…』
そう言われて
ショウは心底困った顔をしていた。
「おれ、さすがに王様の身代わりなんかできねーからな。」
「……」
玉座の間を下がり、おれの部屋に戻ってきたけど
さっきからショウはずっとムズカシイ顔して
だまったまんまだ。
そのショウの顔からは
何考えてんのか全く読み取れなかったけど…
おれの頭ん中にはさっき見た光景が
ありありと浮かんでくる。
それにしても、アレ…
どういうことだったんだ?
『オレより先に結婚するサトシの方が王に相応しい、でしょ?』
あのあと、王様はそういった。
うん、ココまではおれにもわかる。
けど、そのあと。
『だってオレは結婚できないんだから…』
なんで?なんで王様は結婚できないの?
体が弱いから?
体弱くても結婚してる人なんていくらでもいるよね?
『だから世嗣ぎにも恵まれることはないし
この国の未来のためにはその方がいいんだよ。』
ってことは、つまり、アレなのかな?
子供が作れない…その、アレがアレだとか…
そーゆーことか?
だからサトシが先に結婚して…ってことなのか?
でもおれが一番引っかかったのはソコじゃないんだ。
『ショウちゃんだって、わかってるでしょ?』
『陛下……』
そのまましばらく
じっと見つめ合ってた2人……
なんかそこにおれなんかいないみたいにさ…
アレって、どういうことだったんだ?
まさかだけどさ
もしかしてもしかすると、あの2人……
"………オーノさん…"
ふと、またニノの声が聞こえた気がした。
……あっ!
そうだった……
あん時、ニノの声が聞こえたんだ。
助けてって…おれに助けてっていってた。
"……オーノさん!やだ!助けてっ!…"
思い出したとたん、また胸がギュッと苦しくなる。
そうだよ、おれ早く帰んなきゃ。
何があったのかわかんねーけど
ニノが、おれを待ってる……
「ショウ、あのさ、おれ…」
おれがショウにそう切り出したとたん
勢いよくドアが開けられた。
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