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｢そのワタベとサワベってなんなの？
どんなヤツなの？｣
｢…ワターベとサワーベです。｣
｢ワターベは元老院の中でも稀な若くして選ばれた者で
特に王に近い者です。
また美食家としても知られ
彼のサロンでは夜毎美食の宴が催され
様々な人物が出入りしているそうです。｣
｢ふーん…｣
｢大方MJ団の奴らもそこに出入りするうちに取り込まれたのでしょう。
そしてサワーベはその忠実なる
ワターベのためならなんでもするような男。
ですがいずれも、王を敬愛し王の信頼厚い者たちなのです。｣
｢そうなんだ…兄上、ショックだろうな……｣
｢ええ…｣
あの、人のよさそうな王様が悲しむ姿は
見てられないな……
｢失礼いたします！
サトシ王子、宰相閣下、国王陛下のお召しでございます。
至急、玉座の間へお越しください。｣
まるで今までのことどっかで見てたみたいに
その王様からお呼びがかかった。
｢ふぅ〜……｣
コトの詳細を、ショウが報告すると
王様は深い溜め息をついた。
｢まずはカズちゃんが無事に戻ってきて良かった…
で、今は？｣
｢薬で眠らされたようで未だお目覚めではありません。
が、侍医によれば特にお体に問題はないとのことです。｣
｢そっか…良かった。
サトシも、すまなかったね。
私が至らないばかりに、このような事態を招いてしまった。｣
｢兄上…｣
｢畏れながら陛下…
此度の件は陛下に何ら落ち度のあるものではございません。
己が行き過ぎた妄想故に暴走した者達のしでかした騒動。
陛下がお心を痛めることなど何ひとつございません。｣
｢ありがとね、ショウちゃん…
でもさ、ワターベもサワーベもオレにとっては
大事な臣下なんだ。
今までだってすっごく助けてもらってた。
今度のこともオレのためを思ってやってくれたんだと思うと…
やっぱりこのままって訳にはいかないよ。｣
｢陛下……｣
｢オレが体が弱くて不甲斐ないばっかりに
サトシにも、カズちゃんにも迷惑かけちゃったね……
でも今回のことで、オレ、やっと決心がついた。｣
｢…決心？｣
｢うん…もうずっと前から考えてたんだけどさ……
オレ、退位してサトシに王位を譲ろうと思う。｣
｢陛下！｣
｢兄上！｣
思いがけない言葉に、ショウと顔を見合わせた…
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