幸ひすむと人のいふ…☆ (ページ30)

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『どういうことだ！？』

『王子がニセモノだなどと！！』

『それよりもし王女に何かあれば…』

『そうだ！隣国との関係に亀裂が入るぞ！』

『亀裂が入るだけではすまん！』

『この国を守るためには
なんとしても王女を救い出さねば！』

『宰相！王子がニセモノとはどういうことだ！』

『本物の王子はどこだ？』

『じゃあこの男は一体何者なんだ！？』

この国のおエライさんたち、なのかな？

みんなが血相変えてショウに詰め寄っていく。

中には

『こんなにソックリなのに本当にニセモノなのか？』

なんて言って、おれの顔をしげしげ眺めに来るヤツもいる。

『まあまあ、皆さんどうか落ち着いて…』

なだめようとするショウの態度に

おエライさんたちはさらに怒り出す。

『だいたいこんな若造を宰相なんかにするからだ！』

『王子の陰で我が物顔で国政を取り仕切っていたからな！』

『王子の幼馴染みかなんか知らんが
うまいこと取り入りおって！！』

おいおい、お前ら

なんか言いたい放題言ってるよな。

でもあれだろ？

お前ら今までそういうめんどくさいことは

全部ショウに任せてたんだろ？

任せてたっていえば聞こえはいいけど

要は全部押し付けてたよな？

ショウはよくやってくれてたよ。

おれの気づかないとこまでちゃんと気を回してくれてさ。

元老院のジジイ共が

こんな時だけ出しゃばってくんなっつーの。

…あ、今のこれ、サトシの記憶だ。

ヤバいな、だいぶ混ざってきてんぞ。

ダイジョブか？おれ……

でも、今ここでおれがショウを助けてやんねーと

アイツ、つるし上げられちゃうしな…

ヨシ！ここはいっちょ、やったるぜ！！

｢おい！おま…｣

｢皆の者、静まれ！！｣

おれの声にかぶせるように

兄上、マサキⅢ世の声が大聖堂に響き渡る。

｢ですが陛下！この男は…｣

｢…静まれと言ったのが聞こえなかったのか？｣

静かな柔らかい声だけど、そこはやっぱり王様だ。

有無を言わせない力がある。

元老院のジイさんたちも、渋々といった感じで引き下がった。

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