検索窓
今日:4 hit、昨日:4 hit、合計:11,920 hit

29 ページ29

.


静まり返る大聖堂。


重厚なドアが開くと、みんな一斉にそっちを見る。


ぱぁっと光の輪が広がるみたいに

祭壇に向かって光の帯が延びて

そこだけ輝いて見える…

その光の中心に、その人は立っていた。





「うわ、スゲ…」





思わずつぶやいてた。


一歩進んで大聖堂の中に入ると

おれに向かって、この前みたいに

ドレスの裾をつまんで会釈した。


そして、にっこりとほほ笑むと

ゆっくりと歩き出す。


一歩一歩、軽やかに歩くたびに

真っ白なドレスがひらりと揺れて

なんていうか…

すごく、綺麗だ……//





こうして見るとマジでニノにそっくりだけど

やっぱりカズはどっからどう見ても

女の子、なんだよなぁ…


すっげぇ不思議な感じだ。


それにこのまま式が進めば

おれ、この子と、その、ほら…

誓いのキス…とかするんだろ?///





"ドキン…"





そこまで考えて、ふとまたあの夢を思い出した。


思わず無意識に唇をさわってしまう…





やべぇ、なんか違ったイミで

ドキドキしてきた……//





思わず一瞬、カズから目をそらした。


その時だった。





『騙されるな!!その王子はニセモノだ!!』





「キャッ!!」





どこからともなく声がしたかと思うと

列席者に紛れていたらしい男たちに

カズが囚われていた。





『キャーー!!』

『王子がニセモノ?!』

『何を言っているんだ!?』

『王女が!カズ王女が!!』


騒然となる大聖堂。


一番後ろの席に待機していたショウが

とっさに剣を抜こうとした。





「動くな!静かにしろ!!
少しでもおかしな動きをする奴がいたら
王女の命はないぞ!!」





男たちに囚われたカズの細い首すじには

短剣が突きつけられている。





「大人しくしていれば王女に危害は加えない。
王女を返してほしくば本物の王子がひとりで
ヴェント山まで来い!」


「何を言っている!無礼者め!!
そこにいらっしゃる王子は正真正銘のご本人だ!
ねぇ、王子!?」





腰の剣に手を添えたままのショウが

いきなりおれにふってくる。





「え?お、おれ?
お、おお!そうだとも、おれは本物のサトシだぞ!」


「ふんっ!王子が本物じゃないことは
宰相殿が一番よくご存じだろう?
つべこべ言わず、本物の王子を連れてこい!!」





そういうと男たちは周囲を威嚇しながら

カズを連れて重厚な扉の外へと消えていった。


.

30→←28



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (25 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
42人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:author | 作者ホームページ:http  
作成日時:2020年6月1日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。