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「…んだっけ、“ドナウディ”…?」


しばらくピアノをぼんやりと見つめていたが、頼まれ事を思い出してその周りを見渡した。一面の壁は棚になっており、そこにぎっしり、色々なものが収納されている。

本にしてはサイズが大きい。恐らく、AAの言っていた「歌曲集」やら「楽譜」やらがこれなのだろう。
本屋と違ってあいうえお順にすらなっていない。探すのには苦労しそうだ。

とにかく1段目から全部出して、探して、なかったら片付けて次の段、といった方法をとることにした。

これが想像以上にキツイ作業で、出版社が同じだとずっと似た表紙だったり、めちゃくちゃ分厚かったり、逆にバカ薄いものもあったり、ゲンナリとしながら安易に引き受けてしまったことを後悔。
いや、これも仕事のうちだけど。


「(そもそも、使ってんのかこの楽譜)」


AAはこれをコレクションだと言った。楽譜なんか集めたって使わなければ意味が無い。そりゃ、音をメモしてある紙みたいなもんだし。
それなのに、使われた形跡は一切なかった。たぶん新品のまま、未使用で収納されている。変な趣味だな、と率直に思った。

段々大きさや扱いにも慣れて、探すスピードも自然と早まる。さっさと終わらせて飯食いたい。男子大学生の食欲なめんなよマジで。

怒り半分呆れ半分でようやく最後の1段となったところで、不意に後ろから声がかかった。


「おぉ、ありがとう。大変だったでしょ」


「…帰ってきてたのかよ」


扉に寄りかかって、楽しそうに立つAA。「今ちょうど帰ってきたんだよ」と言いながらこちらに近づき、しゃがんでる俺を見下ろした。


「久しぶりに見たなぁ」


「これ、マジでなんの部屋?」


「うーん、音楽室?」


「はぁ?」


困ったように笑って、重ねられた楽譜の1番上を手に取り、ペラペラとめくる。その姿を訝しげに見ていると、AAはぽつりと話し始めた。


「世間で言うところの、クラシックかな。大好きなんだよね。…君も知ってるでしょ、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン」


「まぁ、そこら辺は」


「他にもいっぱいいるんだよ。ヴィヴァルディ、ショパン、シューベルト、リスト、ドビュッシー」


「…多い」


「あはは、曲聴いたら分かるんじゃない?」


AAはそう言って、部屋の中央のピアノに触れ始める。被さっている布を纏め、蓋を開けた。そして1つの鍵盤を押すと、独特な音が部屋に響き渡る。

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作者(プロフ) - 那奈さん» ありがとうございます😌私生活との兼ね合いもあり更新ペースが下がっていました💦頑張ってこれからも書いていくので、よろしくお願いいたします☺️ (4月22日 21時) (レス) id: 4fb250efc4 (このIDを非表示/違反報告)
那奈 - とっても素敵な作品だと思いました。難しいとは思いますが、更新してくださると嬉しいです。 (4月22日 8時) (レス) @page37 id: 3264f93205 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 栗ここなさん» ありがとうございます😭試行錯誤しながら書いている作品なので、作者冥利に尽きます☺️これからもぜひお楽しみください😌 (3月27日 18時) (レス) id: b4c68f46cc (このIDを非表示/違反報告)
栗ここな(プロフ) - このシリーズ本当に好きです!続きをいつも楽しみにしてます🥰 (3月25日 21時) (レス) id: c0504a419b (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - メルさん» ありがとうございます☺️こちらでもコメントしていただけて本当に嬉しいです😭頑張って書こう!という気持ちになれます🙇‍♀️これからも応援よろしくお願いします! (3月19日 13時) (レス) id: b4c68f46cc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作者 | 作成日時:2024年3月18日 16時

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