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「もしもし、五条くん?」


AAから着信があったことに気がついて、つい慌ててかけ直したところ繋がらず。タイミングの悪さを呪っていた時刻から2時間後、ようやく折り返しの折り返しがかかってきた。


「なに」


「不機嫌だね。ごめん、折り返し出れなくって」


「別に。なんの用だよ」


「いやー、君にお願いしたいことがあって電話したの。今すぐじゃなくていいんだけど…」


AAが俺にわざわざ頼み事なんて、今まで1度もなかったと思う。基本的に自分でなんでもやるやつだし、俺の仕事を必要以上に奪いはしないし、増やすことなんてもっとしなかった。


「珍し、お前がお願いとか」


「そう?いやでも君にしか頼めないし」


「…要件は」


「あはは、大変申し訳ないんだけど─────」














「(…やっとこの部屋の中が拝める)」


太陽が沈み始める時間帯。家の中にある1つの部屋の前まで来ていた。
その部屋は、今まで1度も扉の中を見たことがない開かずの間。AAに「入らないで」とやんわり言われていたのだ。

『私の個人的なコレクションがあってね。掃除もしにくいだろうから放っておいていいよ』

なんて仰せつかり、早数ヶ月。AAから告げられたのは、こんなことだった。


「私のコレクション部屋、あるって言ったでしょ?あの鍵がかかってる場所。あそこから探し物をしてほしくて。歌曲集…えっと、楽譜が本になってるやつ。ドナウディって人の」


上手く聞き取れなくて、2回ほど聞き直したのは言うまでもない。初めて聞く横文字の名前に違和感を覚えながらも二つ返事で承諾した。

実は少しワクワクしている。謎の多いAAの、趣味の部屋。少しでもアイツのことが分かるのだろうか。


AAが鍵を保管している場所から取ってきた部屋への切符を鍵穴に入れる。ガチャリと音が鳴り、唾を飲み込んだ。

いざ、扉をゆっくりと開ける。嗅ぎなれない匂いが鼻をくすぐり、埃っぽさに少し顔を顰めた。

電気をつけ、部屋の中を覗いて、最初に目に入ったのは、布に覆われた大きなもの。


「…ピアノ?」


この家にそんなものが置いてあるとは知らなかった。もう何年も掃除されていない様子を見ると、本当にただ置いてあるだけの、弾かれることもない寂しい楽器のようだ。

AAがピアノを弾く?ぜんっぜん想像できねぇけど。

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作者(プロフ) - 那奈さん» ありがとうございます😌私生活との兼ね合いもあり更新ペースが下がっていました💦頑張ってこれからも書いていくので、よろしくお願いいたします☺️ (4月22日 21時) (レス) id: 4fb250efc4 (このIDを非表示/違反報告)
那奈 - とっても素敵な作品だと思いました。難しいとは思いますが、更新してくださると嬉しいです。 (4月22日 8時) (レス) @page37 id: 3264f93205 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 栗ここなさん» ありがとうございます😭試行錯誤しながら書いている作品なので、作者冥利に尽きます☺️これからもぜひお楽しみください😌 (3月27日 18時) (レス) id: b4c68f46cc (このIDを非表示/違反報告)
栗ここな(プロフ) - このシリーズ本当に好きです!続きをいつも楽しみにしてます🥰 (3月25日 21時) (レス) id: c0504a419b (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - メルさん» ありがとうございます☺️こちらでもコメントしていただけて本当に嬉しいです😭頑張って書こう!という気持ちになれます🙇‍♀️これからも応援よろしくお願いします! (3月19日 13時) (レス) id: b4c68f46cc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作者 | 作成日時:2024年3月18日 16時

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