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「…あの日」
五条くんの言う、あの日。それは私たちの中で共通の認識がある。夏油くんが高専からいなくなってしまったあの日、だ。
「僕は打算的にお前にお願いした。まさか本当に残ってくれるとは、って思ったけど、確率は半々だったし、賭けてみようってね」
「…そんなに確率高かったんだ」
「酷いこと言うね〜。ま、あの後お前の婆ちゃんが亡くなったから、そこで、術師続けてくれるって確信したよ」
「…それは、正解かも」
五条くんにお願いされ、少しして、私の音楽の師匠だった祖母が亡くなり、とうとう片方の道を目指す気力が削がれた。簡潔に言えば、そう。
「僕とお前はまぁ、両片思い的な?それはお互い分かってたじゃん」
「…うん」
「でも、お前が高専離れるってわかってたから付き合おうって思わなかったんだよね。でも、傑がいなくなって、Aまでここを離れるのかって思ったら、手放したくなくて」
「うん」
「酷いことをした。お前は絶対、ここじゃない場所で幸せになれたはずなのに」
その発言を否定できなかったのは、私の弱さのように感じる。そんなことないよ、五条くんといれて幸せだったよって、言ってあげられれば良かったのに。
「でもどぉ〜しても、離れたくなかった僕の恋心も、ちょっとは理解していてよ」
「わかってる、つもり」
「うーん、じゃあ訂正。ちょっとじゃなくて、痛いほどよく分かっててね。
本当のことを言うと、僕はお前に10年前から、
“100年先まで呪いから離れられませんように”
…って、呪ったぐらいなんだよ」
「…なにそれ」
愛のある台詞にしては随分物騒だ。ふふ、と笑い声を零せば、私が本気にしていない、冗談だと思われていると五条くんが心外そうに言った。
ほんとに、100年先まで───────
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作者(プロフ) - 那奈さん» ありがとうございます😌私生活との兼ね合いもあり更新ペースが下がっていました💦頑張ってこれからも書いていくので、よろしくお願いいたします☺️ (4月22日 21時) (レス) id: 4fb250efc4 (このIDを非表示/違反報告)
那奈 - とっても素敵な作品だと思いました。難しいとは思いますが、更新してくださると嬉しいです。 (4月22日 8時) (レス) @page37 id: 3264f93205 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 栗ここなさん» ありがとうございます😭試行錯誤しながら書いている作品なので、作者冥利に尽きます☺️これからもぜひお楽しみください😌 (3月27日 18時) (レス) id: b4c68f46cc (このIDを非表示/違反報告)
栗ここな(プロフ) - このシリーズ本当に好きです!続きをいつも楽しみにしてます🥰 (3月25日 21時) (レス) id: c0504a419b (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - メルさん» ありがとうございます☺️こちらでもコメントしていただけて本当に嬉しいです😭頑張って書こう!という気持ちになれます🙇♀️これからも応援よろしくお願いします! (3月19日 13時) (レス) id: b4c68f46cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:作者 | 作成日時:2024年3月18日 16時