49 ページ49
・
「…ねぇ」
「ん？」
突然の五条くんの登場に、まずはここにいる理由を尋ねた。
「なんでここにいるの？」
「んー…ま、任務帰り？たまには電車で帰ろうとしたら、お前がいたから来たの。そしたらまさかのナンパされてるからさあ」
「そっか」
話している間、五条くんは私を閉じ込める腕を下ろさない。耳元で聞こえる話に、私は段々焦り始めた。
「あ、あのさ五条くん」
「なに」
「わっ、わたし、前から思ってたんだけど」
「？」
声が裏返りそうになる。勇気を振り絞って、聞いた。
「ちょっと、ち、近くない？最近」
「…は？」
「な、なんかおかしいよ距離感。おかげで変な噂もたってるんだよ？私達が付き合ってるみたいな噂。どうしちゃったの五条くん…？」
やっと、ようやく、言えた。ずっと聞きたくて聞けなかった質問。後ろにいるから顔が見えないけれど、それはむしろ良かったかもしれない。目を合わせていたら、きっと聞けなかった。
五条くんは黙ったまま数十秒固まっていた。やはりどこか、思うところがあるのだろうか。
「は…」
「は…？」
「はぁぁぁ！？」
「うわあ！？」
突然大きな声を出したので、びっくりして飛び跳ねる。その弾みで離れると、五条くんは大きな目をさらに大きくして、信じられないと言いたげにこちらを見ていた。通行人もこちらを一斉に凝視していて気まずい。
「まぁじで言ってんの！？」
「え、え？な、何が？」
「っあークソッ！この！激ニブ女！」
少し頬を赤らめて、罵倒される。周りの人達がドン引いているから声のボリュームを抑えてほしい。一体、いつ私が、鈍かったというのだ。
「お前マジで、何？今までどうやって生活してきたらそんな鈍くなれるわけ！？」
「…酷い言われよう」
「あたりまえだろ！こっちが驚きだわ」
何故かこちらが悪い方向に話が流れているので、少しムッとして反論する。
「つ、付き合ってたの？私達…でも、告白も何もないよね？」
「いやっ、は！？あっただろ！お前も了承したし」
「…？」
「あー、あれ、あれだよ！“一緒にいる”って言ったやつ！言わせんなこんなこと！」
記憶を辿ればすぐに思いついた。縛りを結んだあの時だ。
『…じゃあ、俺のために術師やって。そんでもって、お前だけは俺の前からいなくなんなよ』
『……うん、約束する。私は五条くんと一緒にいるね』
確かに、そんな会話をした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 214人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
作者(プロフ) - 那奈さん» ありがとうございます😌私生活との兼ね合いもあり更新ペースが下がっていました💦頑張ってこれからも書いていくので、よろしくお願いいたします☺️ (4月22日 21時) (
レス) id: 4fb250efc4 (このIDを非表示/違反報告)
那奈 - とっても素敵な作品だと思いました。難しいとは思いますが、更新してくださると嬉しいです。 (4月22日 8時) (レス) @page37 id: 3264f93205 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 栗ここなさん» ありがとうございます😭試行錯誤しながら書いている作品なので、作者冥利に尽きます☺️これからもぜひお楽しみください😌 (3月27日 18時) (レス) id: b4c68f46cc (このIDを非表示/違反報告)
栗ここな(プロフ) - このシリーズ本当に好きです！続きをいつも楽しみにしてます🥰 (3月25日 21時) (レス) id: c0504a419b (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - メルさん» ありがとうございます☺️こちらでもコメントしていただけて本当に嬉しいです😭頑張って書こう！という気持ちになれます🙇♀️これからも応援よろしくお願いします！ (3月19日 13時) (レス) id: b4c68f46cc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：作者 | 作成日時：2024年3月18日 16時
