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しばらく沈黙が続いた。自分の呼吸の音だけが認識できる。
そんな中、先に口を開いたのは五条くんの方だった。
「…死ぬとか考えんなよ」
「…」
「あと、なんにもないってわけでもねぇだろ。お前に音楽以外なかったら、俺も硝子も、傑も、お前とつるんでない」
「…ありがとう」
彼らしい慰めの言葉に感謝を述べると、不意に頭を優しく撫でられる。急な行動に驚きながらも拒否しないでいれば、そのまま五条くんが話し始めた。
「俺、思うんだけど」
「うん」
「歌とか音楽をやんなくちゃいけないっていう強迫観念が、そもそも間違ってんじゃねぇの?」
「…え?」
「そんなつもりでやるなら、それこそお前の婆ちゃんに失礼だろ」
「…」
「で、ほんとに続けんの?それわかってた上でお前はまだ音大に行く気があるわけ?」
「…五条くん」
真っ青な空の瞳が「行くな」と語っていた。これは五条くんが私に吐くエゴで、それと同時に、私のために用意された建前だ。
五条くんは、私に逃げ道を用意してくれている。それがどんなに悪魔的で、残酷で、美しいことなのか、君はどこまで自覚しているのだろうか。
「…でも私、音大行かないならどこに行くって言うの」
「前も言ったけど、術師か補助監督。てか既に術師だろ、お前は」
「雑魚って言ってきたくせに…?」
「…それは悪かった。でも、雑魚覚悟で術師の方が向いてんぞ。少なくとも、死んでもやりたいことがあるっつって突っ走れんなら十分」
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作者(プロフ) - 那奈さん» ありがとうございます😌私生活との兼ね合いもあり更新ペースが下がっていました💦頑張ってこれからも書いていくので、よろしくお願いいたします☺️ (4月22日 21時) (レス) id: 4fb250efc4 (このIDを非表示/違反報告)
那奈 - とっても素敵な作品だと思いました。難しいとは思いますが、更新してくださると嬉しいです。 (4月22日 8時) (レス) @page37 id: 3264f93205 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 栗ここなさん» ありがとうございます😭試行錯誤しながら書いている作品なので、作者冥利に尽きます☺️これからもぜひお楽しみください😌 (3月27日 18時) (レス) id: b4c68f46cc (このIDを非表示/違反報告)
栗ここな(プロフ) - このシリーズ本当に好きです!続きをいつも楽しみにしてます🥰 (3月25日 21時) (レス) id: c0504a419b (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - メルさん» ありがとうございます☺️こちらでもコメントしていただけて本当に嬉しいです😭頑張って書こう!という気持ちになれます🙇♀️これからも応援よろしくお願いします! (3月19日 13時) (レス) id: b4c68f46cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:作者 | 作成日時:2024年3月18日 16時