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そうやって、あくまで自然に、月日と同じくゆるやかに関係も深まったと思う。
そして、私達はお互い、少しずつ、意識していた。
夏油くんと硝子ちゃんにどこまで感じ取られていたかは分からない。これはきっとただの友達に対する感情じゃないことを、お互い感じとっていて。
お互いがそれを感じているという感覚もあった。所謂、両片想いというものだ。
でも、仲を進展させる気は毛頭なかった。
なぜなら終わりの見える関係だったから。私は呪術師を辞めて音大に行く。そうしたらたぶん、今みたいにはいられない。
なら友達のままでいい。その結論が一致していたから、何も進まなかった。
辛くも楽しくもあって、もちろん死と隣り合わせの任務はいつだって怖かったから大嫌いだけど、ちょっと頑張ってみようと思って。春には新入生が2人も来たから、もっと楽しくなった。
そうやって過ごしていたら、2年の夏辺りだろうか。
五条くんが変わった。
強くなった。今までも十分強かったのに、誰も寄せつけなくなっていた。
夏油くんも変わった。顔色が悪くなった。五条くんと比べたらそりゃ、すぐではないけれど、力はつけていた。それなのに、体調不良の方が目立っていた。
2人とも、どんどん忙しくなっていった。硝子ちゃんは1年の時から忙しそうだったから、実質私だけ置いていかれた。
年末、去年は4人で過ごしていたのに、今年は五条くんだけがいなかった。
たまーに、帰ってきて、何ともなさそうにケロッとしていて、安心した。
お土産、と言って渡されたお菓子を見て、五条くんはそんな気遣いまでできるようになったのか、と言ったら怒られた。
五条くんは確かに変わった。
でも、たぶん、五条くんにとってはただ強くなっただけなんだ。
何も変わってないと思ってる。私のことも硝子ちゃんのことも。
そして、夏油くんのことも。
ただ体調が少し悪いだけだと、思っている。
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作者(プロフ) - 那奈さん» ありがとうございます😌私生活との兼ね合いもあり更新ペースが下がっていました💦頑張ってこれからも書いていくので、よろしくお願いいたします☺️ (4月22日 21時) (レス) id: 4fb250efc4 (このIDを非表示/違反報告)
那奈 - とっても素敵な作品だと思いました。難しいとは思いますが、更新してくださると嬉しいです。 (4月22日 8時) (レス) @page37 id: 3264f93205 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 栗ここなさん» ありがとうございます😭試行錯誤しながら書いている作品なので、作者冥利に尽きます☺️これからもぜひお楽しみください😌 (3月27日 18時) (レス) id: b4c68f46cc (このIDを非表示/違反報告)
栗ここな(プロフ) - このシリーズ本当に好きです!続きをいつも楽しみにしてます🥰 (3月25日 21時) (レス) id: c0504a419b (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - メルさん» ありがとうございます☺️こちらでもコメントしていただけて本当に嬉しいです😭頑張って書こう!という気持ちになれます🙇♀️これからも応援よろしくお願いします! (3月19日 13時) (レス) id: b4c68f46cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:作者 | 作成日時:2024年3月18日 16時