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またある日、とうとう私は呪術師としての任務で大怪我をしてしまった。呪霊の等級が調査で判明していたものより高かったのが原因だ。
まんまと攻撃を食らって、「死ぬんだなぁ」とぼんやり思い始めた時、救援が入る。
それは別の任務帰りに派遣された五条くんだった。心底面倒くさそうな顔をして、私が殺されかけた呪霊をひとひねりで祓う。その姿に感嘆していると、怪我で動けない私の方に、長い足を動かして近づいてきた。
言わんこっちゃない、と言いたげな顔だった。私は申し訳なさに眉を下げて謝罪する。
「ごめんなさい五条くん。とうとう君に迷惑がかかっちゃった」
「…そう思うならやめろって、もう1回言ってやろうか?」
「それはいらない。わかってるから」
私のそんな態度が気に入らなかったのか、不機嫌そうに顔を顰める五条くん。サングラスの奥の青空がチラリと顔を見せる。そういえばこれは六眼と言うんだっけ、なんて呑気に考えていると、五条くんは口を開いた。
「お前さぁ、マジで死ぬよ。これ、冗談とかじゃねぇから」
「冗談だなんて思ってないよ」
「じゃあなんで、たかが大学に行くためだけに死のうとするわけ。意味わかんねぇ、頭沸いてんのか」
「…さすがに失礼すぎやしませんか、五条くん」
あまりにもな言い方に、思わず呆れてそう言うと、フンと鼻を鳴らされる。
「実際そうだろ。今こうして怪我して、動けなくなってんのはお前。俺が来てなかったら死んでたのもお前。なぁ、俺間違ったこと言ってる?」
「言い方があまり好きじゃないかな。私も、自分がおかしいことなんて分かってるよ。でもどうしても歌手になりたいの」
「…やっぱイカれてんのな」
興味を失ったかのように真顔に戻る五条くん。ただまたすぐ表情を変えて私に聞いてきた。
「怪我、痛い?」
「なんか、感覚が麻痺してるかも」
「ならそれ、ちょっとヤバいやつかもな。早く硝子のところに行かねぇと、最悪足無くなるぞ」
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作者(プロフ) - 那奈さん» ありがとうございます😌私生活との兼ね合いもあり更新ペースが下がっていました💦頑張ってこれからも書いていくので、よろしくお願いいたします☺️ (4月22日 21時) (レス) id: 4fb250efc4 (このIDを非表示/違反報告)
那奈 - とっても素敵な作品だと思いました。難しいとは思いますが、更新してくださると嬉しいです。 (4月22日 8時) (レス) @page37 id: 3264f93205 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 栗ここなさん» ありがとうございます😭試行錯誤しながら書いている作品なので、作者冥利に尽きます☺️これからもぜひお楽しみください😌 (3月27日 18時) (レス) id: b4c68f46cc (このIDを非表示/違反報告)
栗ここな(プロフ) - このシリーズ本当に好きです!続きをいつも楽しみにしてます🥰 (3月25日 21時) (レス) id: c0504a419b (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - メルさん» ありがとうございます☺️こちらでもコメントしていただけて本当に嬉しいです😭頑張って書こう!という気持ちになれます🙇♀️これからも応援よろしくお願いします! (3月19日 13時) (レス) id: b4c68f46cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:作者 | 作成日時:2024年3月18日 16時