23 ページ23
・
「…22ってのが嘘なわけじゃねぇよな」
「うん、それは嘘じゃない」
「あっそ」
不貞腐れながらそっぽを向くと、女の店員がこちらを見ていることに気づいた。頬を赤く染めて、俺と目が合った瞬間に逸らされる。勝手に見てんじゃねーよ、ブス。
機嫌がいい時はそれこそ手をひらりと振ってファンサービスもするが、生憎今はそんな気分じゃない。なぜだか物凄く、腹が立っている。
「すっかり冷めちゃったねぇ。デザートそろそろ頼んでおこうか」
店員を呼ぼうとするAAに構わず、自己中に質問で遮った。
「さっき比率の話してたけど、逆にアンタにとってソイツは何割?」
「んえ、何割、あぁ…比率ね」
「そ、比率」
「うーん…じゃあ9割!」
「デカ…」
「だって本当に、好き、大好きなの。ふふ、恥ずかしいね、こういうことを言うのは」
こんなに熱烈に、恋やら愛やらを呟くのに、もうこの世にいないヤツ。
仙人みたいな女を、いとも簡単に年相応の顔にさせるヤツ。
誰も、代わりを務めることなんて出来ないヤツ。
「君にそんな人はいる?憎たらしいくらいに好きな人は」
「…いねぇよ」
「じゃあ出来るといいね。いや、出来ない方がいいか。私みたいに苦しむ必要はないし」
確かに苦しいのは嫌だ。
「なんか、ステーキよりはハンバーグの方が、人生で例えるなら満足度が高そうだね。色々なものを混ぜて、好きに成形して、しっかり焼いて、食べる。君にはハンバーグ寄りの人生を送ってほしいな」
「何の話だよ。例えが気持ちわりぃ」
「ちょうど今食べてるから、つい」
美味くない。さっきから味がしない。
せっかくのステーキはかたくなって、目の前の女はハンバーグを美味しそうに口に運ぶ。
確かに、そっちの方が美味そうだ。
214人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
作者(プロフ) - 那奈さん» ありがとうございます😌私生活との兼ね合いもあり更新ペースが下がっていました💦頑張ってこれからも書いていくので、よろしくお願いいたします☺️ (4月22日 21時) (レス) id: 4fb250efc4 (このIDを非表示/違反報告)
那奈 - とっても素敵な作品だと思いました。難しいとは思いますが、更新してくださると嬉しいです。 (4月22日 8時) (レス) @page37 id: 3264f93205 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 栗ここなさん» ありがとうございます😭試行錯誤しながら書いている作品なので、作者冥利に尽きます☺️これからもぜひお楽しみください😌 (3月27日 18時) (レス) id: b4c68f46cc (このIDを非表示/違反報告)
栗ここな(プロフ) - このシリーズ本当に好きです!続きをいつも楽しみにしてます🥰 (3月25日 21時) (レス) id: c0504a419b (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - メルさん» ありがとうございます☺️こちらでもコメントしていただけて本当に嬉しいです😭頑張って書こう!という気持ちになれます🙇♀️これからも応援よろしくお願いします! (3月19日 13時) (レス) id: b4c68f46cc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:作者 | 作成日時:2024年3月18日 16時