22 ページ22
・
「そんな人とね、ずっと長い間、恋人だったんだけど…
大事な戦いに見送ったら、帰ってこなくなっちゃった」
恋人だった、という新事実に加え、どういう経緯でソイツが亡くなったのかも知り、何も言えなくなった。口を噤んだ俺に、AAは目を細めてゆっくり話を続ける。
「今思えば、どうしようもないけど、優しい人だったのかなぁ。尽くしてくれたとは思わないけど、忙しいなりに私を大事にしてくれてたのかも」
「…」
「私がその人の中のどれくらいの比率だったのかは分からないよ?でもたぶん、2割とか…うーん、それも怪しいな。まぁぶっちゃけると、私より親友の方がよっぽど大事だった人、みたいなんだよね」
「…マジで、どこがいいんだよそんなヤツ」
「あはは、私もそこが唯一嫌いなところ!ほかは全部、大好きだったのに」
自嘲気味にそう言われると、それ以上ソイツの悪口は言えそうになかった。本人が言うにはどうやら、補欠扱いの二の次彼女だったわけで。それも気の毒だと思う。
ただ、いくつか納得のいかないことがあったので、気まずいながらも聞いてみる。
「なぁ、なんで戦いに送り出したんだよ。お前が最強なんだろ?自分がソイツの代わりに戦いに行く、とかは…」
「…あー、いや、私はその人より全然弱いからね。出る幕がなかったの」
AAは少し考える素振りを見せた後、そう答えた。思わず絶句する。コイツより強いやつが、どうやら2人もいるらしい。想像もつかない。
「そんなヤツいんだな」
「まぁね」
「…それと、ずっと長い間付き合ってたって言ったよな?それってどれくらい?アンタ22だろ?」
もうひとつの問いに、AAはまた同じような顔をして返答に迷っていた。でも俺の疑問は至極真っ当だと思う。ずっと長い間というのを22歳から逆算してみれば、俺とアイツの時間の感覚の差が著しくない限り、かなり若い頃から恋人じゃないと成立しない。
「そのー、まぁ、10年?」
「10!?ってことはまさか12の時から」
「い、いや、うん、そこはまた色々あるからそんなに若くない。ごめん、この話はちょっと言えないや」
慌てた様子で言葉を濁すAA。正直気になって仕方がないが、ここで駄々をこねたところでコイツが話してくれるようには見えなかった。
214人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
作者(プロフ) - 那奈さん» ありがとうございます😌私生活との兼ね合いもあり更新ペースが下がっていました💦頑張ってこれからも書いていくので、よろしくお願いいたします☺️ (4月22日 21時) (レス) id: 4fb250efc4 (このIDを非表示/違反報告)
那奈 - とっても素敵な作品だと思いました。難しいとは思いますが、更新してくださると嬉しいです。 (4月22日 8時) (レス) @page37 id: 3264f93205 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 栗ここなさん» ありがとうございます😭試行錯誤しながら書いている作品なので、作者冥利に尽きます☺️これからもぜひお楽しみください😌 (3月27日 18時) (レス) id: b4c68f46cc (このIDを非表示/違反報告)
栗ここな(プロフ) - このシリーズ本当に好きです!続きをいつも楽しみにしてます🥰 (3月25日 21時) (レス) id: c0504a419b (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - メルさん» ありがとうございます☺️こちらでもコメントしていただけて本当に嬉しいです😭頑張って書こう!という気持ちになれます🙇♀️これからも応援よろしくお願いします! (3月19日 13時) (レス) id: b4c68f46cc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:作者 | 作成日時:2024年3月18日 16時