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「…ごめん、だいぶ遅い時間になっちゃったね。今日はお弁当でも食べようか」
AAの話を聞いていたら、あっという間に時間が経ってしまった。スマホを見れば、確かに夕飯を作り始める時間はとっくに過ぎている。
雇い主がいいって言ってんなら、弁当でいいだろ。
「何食べたい?私今ならなんでも食べれる」
「俺も別に」
「あ、外食でもいいよね〜、折角ならちょっと奮発してもあり」
「お前の奮発は怖ぇよ」
「いやいや、さすがに今から行けるところだよ。そんなに金銭感覚狂ってないから」
金銭感覚狂ってないヤツは、見ず知らずの男の大学費用まで払わねぇっつうの。
「どうしよう、パスタ?ステーキ?お寿司?カレー?…五条くんお腹は空いてる?」
「それなりに」
「じゃあちょっとタクシーでも呼んで、何か食べに行こっか」
何気に、AAと外食するのは中華屋以来になる。中華屋を含めていいかはわかんねぇけど、あの時と違って俺はたぶん、コイツを信用している。絆された、と言ってもいい。
傑もそうだけど、コイツも、隣にいると酷く落ち着いて、態度とは裏腹に息がしやすかった。
それと同時に、傑の時には感じない、胸の内のモヤッとした何かは、未だ消えないまま。
心臓を少しキュッと握られたような、まだ何か足りないものを補いたいような、顔を見る度に“もっと”と、よく分からないものを欲しがっている。
「…俺、今は肉の気分」
「いいね、デザートもつけよう」
「最高だなそれ」
俺がそう言うと、AAはイタズラの成功した子供のように笑った。
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作者(プロフ) - 那奈さん» ありがとうございます😌私生活との兼ね合いもあり更新ペースが下がっていました💦頑張ってこれからも書いていくので、よろしくお願いいたします☺️ (4月22日 21時) (レス) id: 4fb250efc4 (このIDを非表示/違反報告)
那奈 - とっても素敵な作品だと思いました。難しいとは思いますが、更新してくださると嬉しいです。 (4月22日 8時) (レス) @page37 id: 3264f93205 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 栗ここなさん» ありがとうございます😭試行錯誤しながら書いている作品なので、作者冥利に尽きます☺️これからもぜひお楽しみください😌 (3月27日 18時) (レス) id: b4c68f46cc (このIDを非表示/違反報告)
栗ここな(プロフ) - このシリーズ本当に好きです!続きをいつも楽しみにしてます🥰 (3月25日 21時) (レス) id: c0504a419b (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - メルさん» ありがとうございます☺️こちらでもコメントしていただけて本当に嬉しいです😭頑張って書こう!という気持ちになれます🙇♀️これからも応援よろしくお願いします! (3月19日 13時) (レス) id: b4c68f46cc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:作者 | 作成日時:2024年3月18日 16時